「IT系」と一言でいってもさまざまなジャンルの仕事があることを知っていますか。IT関係の仕事は高い知識やスキルを必要とする場合も多いので、高校生のうちから具体的にどういった仕事をしたいかを明確にし、職種に合った進路を選択したいものです。
今回は、IT関係の仕事にはどのようなものがあるか、年収はどれくらいか、さらに高校生がIT関係の仕事を目指す際におすすめしたい卒業後の進路を紹介します。
IT関係の仕事12選
早速、IT関係の仕事にはどういったものがあるのかを見ていきましょう。
①システムエンジニア
システムエンジニアは、ソフトウェアやシステムを開発するためのベース作りをする仕事です。主に企業相手の商売なので、クライアント企業の顧客管理システムや営業管理システムなど、クライアントの業務に必要なシステムを作ります。
ただし、システムエンジニアは「エンジニア」と名はつきますが、実際にプログラミングすることはほとんどありません。プログラミングは別のエンジニアが行います。システムエンジニアは、クライアントと打ち合わせをし、クライアントの求めるものを作るため、設計図を作ったり、最終的なテストやチェックをするのが主な業務です。
システムエンジニアはプログラミングはしませんが、プログラミングの基礎知識が求められることはもちろん、クライアントとのやり取りのためのコミュニケーション能力も必要です。
②Webエンジニア
Webエンジニアは、Webサイトを制作するためのさまざまな作業に関わる仕事です。まずはどのようなWebサイトを作りたいのかというヒアリングからはじまり、実際のサイト制作も行います。
Webエンジニアは、ユーザーが操作する目に見える部分(UI)を担当するフロントエンジニア、裏のシステムや機能的な部分を担当するバックエンジニアの大きく2つに分かれて作業を進めます。
③AIエンジニア
AIエンジニアは、AI(人工知能)を活用したサービス・プロダクトをつくる仕事です。昨今AIはIT業界だけでなく幅広い業界で活用されています。AIエンジニアはAIについての高い専門知識を持ち、企画や設計、実装を行います。
将来性のある仕事ですが、最新技術を扱う分野であるため、知識や情報の収集を常に行う必要があります。
④インフラエンジニア
インフラエンジニアとは、ITインフラの設計や運用をする仕事です。ITインフラとは、ネットワークやサーバーのなかで必要な基盤のことです。日常生活に例えると、電気・ガス・水道などに当たるものであり、常に安全で快適に利用できる環境を保たなければなりません。
インフラエンジニアは、多くの人がWebサービスを安心して使えるように支えてくれる重要な仕事です。
⑤ブロックチェーンエンジニア
ブロックチェーンエンジニアは、ブロックチェーン技術を用いたサービス・プロダクトをつくる仕事です。ブロックチェーンは新しく、ビットコインやイーサリアムスマートコントラクトなど仮想通貨に主に使われている技術です。
ブロックチェーンは、仮想通貨や金融だけでなく、製造業・小売・ゲーム・電力・保険など幅広い業界での活用が見込まれており、実際一部の業界では応用が始まっています。今後ますますブロックチェーンエンジニアの需要は高まると予想されます。
⑥Webディレクター
Webディレクターは、Webサイト・Webサービス制作の先頭に立ちスタッフをまとめて制作進行する仕事です。制作現場での進行や管理をするのはもちろん、クライアントと折衝を行い、お金周りの交渉などを行ったり、定期的にミーティングを設定して制作物の進捗を説明するなどの業務も行います。さらには、ワイヤーフレームといわれる、Webサイトの設計図を作成することもあります。
Web制作に関する知識だけでなく、チームをまとめる統率力やコミュニケーション力、クライアントとの交渉力や営業力も求められる仕事です。
⑦Webデザイナー
Webデザイナーは、Webサイトのデザインをする仕事です。クライアントが希望するようなサイトになるよう、サイト全体の構成を考えたり、ユーザーの利便性を考えたデザインを提案・制作します。
Webデザイナーにはデザイン専用のソフトが使えることはもちろん、デザイン力、そしてWebサイトを構成するためのコーディングの知識、技術も必要となります。
⑧セールスエンジニア
セールスエンジニアは、技術面から営業をサポートする仕事です。名前に「エンジニア」とありますが、営業職に近い仕事内容になっています。
セールスエンジニアは製品のよさを知ってもらうために説明をしたり、実演をします。製品の魅力を伝えるには、やはり専門的な知識が必要であり、セールスエンジニアは高い知識を活かし営業の仕事をサポートします。
⑨ITコンサルタント
ITコンサルタントは、クライアントの要望や経営課題などに合わせ、どういったシステムを導入するといいか提案する仕事です。システムエンジニアと似たような仕事内容に見えますが、システムエンジニアよりも前、企画段階をITコンサルタントは担います。
ITコンサルタントはITに関する知識はもちろん、問題を明らかにする力、解決のためにどうすべきか導く力なども必要です。
⑩Webマーケター
Webマーケターは、製品やサービスなどの認知度を高め、売り上げや集客アップのために施策を打ち出す仕事です。Webマーケターといっても、SEO対策や広告運用、SNSの運用など領域が分かれます。
社内はもちろん、社外の人ともコミュニケーションを取る必要があり、会社の利益拡大はもちろん、顧客のニーズに応えていくことも大切です。
⑪データアナリスト・データサイエンティスト
データアナリストは、データ分析を専門とした仕事です。また、データサイエンティストも似た職種ですが、統計学や数学、情報科学などさまざまな知識を元にデータを駆使します。
重複する仕事内容もあり、どちらもデータを元に会社の課題を解決する、サービスを改善するといった重要な役割があります。
⑫セキュリティエキスパート
セキュリティエキスパートは、セキュリティに問題がないかを監査する、不正アクセスなどがないよう防衛するなど、セキュリティ面の監視をする仕事です。ほかにも、情報システムの脆弱性を診断したり、攻撃を受けた際に原因を調べたりと、仕事内容は多くあります。
昨今はさまざまな情報をデータ化して取り扱うことが増えていますが、それに伴い情報を守ること、セキュリティを強化するというニーズも高まっています。
IT関係の仕事に就くために必要なスキルは?
IT関係の仕事というと漠然と「パソコンに関する専門的な知識」が必要だと思う人も多いですが、将来IT関係の仕事に就きたいと思ったらどういったスキルを身に着ければよいのでしょうか。
最も重要なのは、IT関係に関する専門的な知識です。プログラミングはもちろん、IT関係の仕事は専門用語も多いので、正しい意味を理解し、用語を聞いて行動に移す力が求められます。
技術者に留まらない場合、クライアントとのやり取りや提案もしなければなりません。この場合、コミュニケーション能力やプレゼン能力、資料を作成するスキルなども必要となります。
さらに、流行を分析する、最新の技術や知識、情報を収集する力、マネジメント力、データから事実をくみ取る論理的な思考なども、IT関係の仕事に就くために必要です。
IT関係の仕事の気になる年収は?
時代の流れとともにIT関係の仕事に就く人は増えていますが、高校生が将来の仕事を考えるとき、気になることの1つに年収や将来性があります。IT関係の仕事の平均年収や将来性はどのようになっているのでしょうか。
IT関係の仕事の平均年収
「DODAエージェントサービス」の調査によると、IT関係の仕事に就いている人の平均年収は444万円。男女別で見ると、男性が471万円、女性が386万円となっています。また、世代別の平均年収は20代が370万円で、年齢を重ねるごとに増加し、50代以上になると716万円にもなるようです。
調査対象となった(異業種含めた)人たち全体の平均年収は409万円ですので、IT関係の仕事は世の平均年収よりも高い年収であるといえます。
IT関係の仕事の将来性
IT関連の技術の進歩はもちろん、昨今はコロナ禍の影響もあり、オンラインを活用した仕事、コミュニケーションなどがますます増えています。Webサイトの新規制作という私たちの身近な仕事はもちろん、セキュリティの強化、AIなど最新技術を活用した新たな商品やサービスの開発など、今後もIT関係の仕事は増加していくことが予想されます。
高校生がIT関係の仕事に就いても、将来性は十分に期待できるといえるのではないでしょうか。
IT関係の仕事に就くための進路
最後に、IT関係の仕事に就きたいと思ったら、どういった進路を選択すればよいのかを紹介します。
専門学校
まずおすすめしたいのは専門学校への進学です。ここまで解説した通り、IT関係の仕事に就くにはさまざまな専門知識や技術が必要となります。専門学校なら、2年間かけてこうした専門的な内容を、実践も交えながらしっかりと学ぶことができます。
また、専門学校によっては企業との繋がりがあったりして、就職にも有利な場合もあるでしょう。まずは複数の専門学校へ見学に行き、授業内容や雰囲気がよいと思える学校を見つけてみてください。
就職
IT関係の仕事に再就職する場合には、ある程度の専門知識が求められますが、高校や大学を卒業したばかりの世代ならば、知識がなくても就職できる企業、職種もあります。エンジニア系の技術職は、常に人手不足という企業も少なくなく、知識ゼロの状態でも社内研修などを行ってくれる場合も。
また、高校で情報系の科にいる場合、学校で学んだ知識のみで就職できる企業も存在します。もし行きたい企業、なりたい職種が決まっており、高校卒業後すぐに就くことができるようであれば、就職をするというのも1つの選択かもしれません。
大学進学
専門学校だけでなく、IT関係の学科を設置している大学も多くあります。工学院大学や高千穂大学、帝京平成大学などはIT関係の勉強ができることで有名です。大学で勉強するメリットは、専門学校よりも自由な時間が多いこと。4年間のあいだにIT関係以外の仕事に就くという選択もできることでしょう。
ただし、専門学校ほどみっちりと授業や実習があるわけではないため、大学に進学した場合、自力で知識を吸収する力が必要です。「絶対にIT関係の仕事に就きたい」と思っているのであれば、短期間で集中的に学べる専門学校への進学を検討したほうがよいでしょう。
まとめ
今回は、IT関係の仕事内容や必要なスキル、年収や進学先などを紹介しました。IT関係の仕事にはさまざまなものがありますが、どれも専門的な知識や技術が必要です。また、クライアントとのやり取りなどもあるため、円滑にコミュニケーションを取る力なども求められます。
IT関係の仕事に就きたい高校生におすすめの進路は、専門学校への進学です。ぜひ気に入ったカリキュラムや環境の進学先を見つけ、IT関係のなりたい職種に就きましょう。