高校生になると、進学先や将来就きたい職業について深く考える機会が増えてきます。さまざまな仕事があるなかで、ダンスに関わる仕事に就きたいと思う人もいるのではないでしょうか。
そこで気になるのが、ダンス関係の仕事にはどのようなものがあるのか、ということ。今回は、ダンス関係のさまざまな仕事に加え、ダンスを仕事にするためにいまできることや卒業後の進路、気になる年収についても紹介します。
ダンス関係の仕事10選
早速まずはダンス関係の仕事を10コ紹介します。ダンス関係の仕事は表舞台に立つダンサーから裏方としてダンスを支える人、身近なダンススクール講師まで幅広いです。
①ステージダンサー
ステージダンサーは、舞台でダンスを披露するダンサーです。ステージといっても、クラブイベントから大きなホールの舞台まで、活躍の場は幅広くあります。また、ダンスのジャンルもクラシックバレエから日本舞踊、ストリートダンスなど、多岐にわたります。
ステージダンサーはダンススキルはもちろん、観客を魅了する表現力が必要です。
②バックダンサー
バックダンサーは、コンサートや歌番組などで歌手の後ろで踊るダンサーです。ほかにも、CMやドラマなどにもダンサーとして出演することもあります。バックダンサーはあくまでも主役を引き立てる存在です。
「自分を見て」というダンスをするのではなく、複数のダンサーで息を合わせ、よりよいステージにするスキルや協調性が求められます。
③テーマパークダンサー
テーマパークダンサ-は、ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンなどを始めとした全国のテーマパークのショーなどで踊るダンサーです。テーマパークダンサーに必要なのは、幅広いダンスのスキルです。
ショーの内容によってダンスのコンセプトが大きく変わるので、どんなダンスにも柔軟に対応する力が求められます。
④ダミーダンサー
ダミーダンサーは、アーティストやアイドルの代わりに事前にフォーメーションやダンスを行うダンサーです。振付家は、アーティストたちに振付をする前に、ダミーダンサーを使ってパフォーマンスの見栄えを確認することもあり、そのときに活躍します。
ダミーダンサーには、指示をよく聞き、振り付けなどを素早く覚え実践する力が必要です。また、バックダンサーなどと同様、周囲と合わせる、自分のクセを出さずに踊る、さまざまなジャンルに対応するといったスキルもなければなりません。
⑤演出家
演出家は、ダンサーではなくパフォーマンス全体の構成や表現方法を考える仕事です。振り付けはもちろん、ステージ全体の流れを考えたり、イメージを作ったりします。演出家といっても、コンサートやミュージカル、ダンスの発表会など関わる現場によって仕事の内容も異なります。
演出家は高いダンススキルよりも、構成や振り付け、キャスティング、曲の選出などのセンスが必要です。
⑥振付師
振付師は、ダンスの振り付けをメインに行う仕事です。演出家が振り付けをする場合、それ以外の構成などにも携わりますが、振付師は振り付けのみを担当します。
プロの舞台やコンサートなどの振り付けをする有名な振付師もいますが、結婚式の余興や運動会のダンスなどの振り付けなどを請け負う会社もあり、幅広い需要がある仕事だといえます。
振付師もダンサーほど高いスキルは必要ありませんが、さまざまなダンスを見て研究し、イメージや踊る人の技術に合った振り付けをするセンスが求めらる仕事です。
⑦スポーツインストラクター
スポーツインストラクターは、スポーツジムなどでダンス指導をする仕事です。スポーツジムではさまざまなレッスンが開講されており、エアロビクスを始めとしたシェイプアップや筋力アップによいダンスプログラムも多くあります。そういった講座で指導をするのが、インストラクターの役目です。
スポーツインストラクターはダンサーや演出家などと比べれば、高いダンススキルやダンスのセンスは必要ありません。しかし、フィットネス全般や体に関する知識を正しく身に付け、担当する講座はもちろん、スポーツジムでの仕事全般をこなせる力が求められます。
⑧ダンススクール講師
ダンススクール講師は、地域のダンススクールでダンスの指導をする仕事です。ダンスのジャンルも、生徒さんの年齢層も幅広くありますが、自分の得意を活かして現場で活躍できるのがメリットだといえます。
ダンススクール講師も、ある程度のダンススキルや振り付けの力があればなることができるといえますが、最も重要なのは「指導力」です。自分が踊るのと、人に教えるのでは異なる部分も大きいので、生徒さんにわかりやすく伝える力、人をまとめたり、ときにはダンス以外の礼儀についても指導する力も必要です。
⑨ダンススタジオスタッフ
ダンススタジオスタッフは、ダンススタジオの受付や掃除、管理などをする仕事です。スタジオによってはダンスの講師がスタッフを兼任することもあります。
ダンススタジオスタッフはダンスができない、ダンスに興味がなくてもなることができるダンス関係の仕事です。また、アルバイトを積極的に募集しているスタジオも少なくないので、ダンス関係のアルバイトをしたい、という場合にもおすすめだといえます。
⑩芸能事務所でのダンサー育成
芸能事務所では、アーティストやダンサー、アイドルなどの卵に日々さまざまなレッスンを行っています。演技や歌などと共にダンスのレッスンもあり、そこでダンサー育成の指導を行う講師も、ダンス関係の仕事の1つです。
芸能事務所でダンサー育成に関わるには、ダンサーとしての経験や指導力の高さが必要です。狭き門ではありますが、自分の育てたダンサーがさまざまな場所で活躍する姿が見られるのは、非常にやりがいが大きいのではないでしょうか。
ダンスの仕事の気になる年収
ダンス関係の仕事に就きたいと思った際に、気になることの1つが年収でしょう。ダンスの仕事の年収はジャンルや雇用形態などによっても異なり、一概に「これくらい」とはいえません。
講師系の仕事ならば、正社員の場合300万円前後が相場だといえます。振付師や演出家の年収はおよそ400万円くらいから数千万円まで。有名になればなるだけ年収はアップします。
ダンサーも同じく、才能があれば活躍の場も多く年収は高くなりますが、一般的には300万円前後ではないかといわれています。ダンサーの場合、固定給ではなくステージ1回に対しギャラが発生するということも多いため、駆け出しの頃は仕事がない、収入が安定しないことも少なくありません。空いている時間を利用してアルバイトを掛け持ちすることも多いようです。
ダンスの仕事は「安定した職」を求める人には向いていないかもしれませんが、その道を極めれば世界で活躍できる、有名になれる、多くの収入を得られるといったさまざまな可能性のある、夢の大きい仕事だといえるでしょう。
ダンス関係の仕事に就くための進路
高校生がダンス関係の仕事に就きたいと思ったとき、卒業後はどういった進路を選択すればよいのでしょうか。
専門学校
1つはダンス関係の専門学校への進学です。ダンス関係の専門学校は、ダンサーだけでなく、歌手や俳優、モデルなど芸能界への進出を目標に進学する人も多くいます。ダンスを極めながら、華やかな世界でマルチに活躍したいと思ったら、専門学校でダンス以外のスキルも身に付けるとよいのではないでしょうか。
また、振り付けや演出、舞台関係の知識を専門的に学べる学校も存在します。表舞台ではなく、裏方としてダンスの仕事に関わりたいという人も、専門学校へ行けばさまざまなスキルを自分のものにできるでしょう。
大学
大学、短期大学でもダンサーを目指せる学科を設置しているところはあります。ダンスを学べることで有名な大学には、日本女子体育大学や玉川大学、昭和音楽大学などがあります。
大学に進学してダンサーを目指すメリットは、ダンス以外の勉強もできる点です。大学にはさまざま講義があり、自身である程度自由に選択ができるため、ダンスだけでなく幅広い教養を学ぶことができます。
また、体育の教員免許を取得できる大学もありますので、ダンスを極めながら、ダンス以外の仕事に就ける力をつけることもできるでしょう。
就職
小さな頃からダンスの経験を積めば、高校を卒業してすぐダンサーとして活躍することもできます。ディズニーランドや劇団四季などは18歳からオーディションを受けることが可能なので、高校在学中にチャレンジをして、合格したら進学せず、テーマパークダンサーダンサーや劇団員として活動することもできます。
ダンススタジオにも高校卒業後から就職できるところはありますので、進学を希望しない場合は就職をする、という選択肢も視野に入れてもよいのではないでしょうか。
ダンス関係の仕事に就くために今できること
将来ダンス関係の仕事に就くために、高校生のうちからできることは何でしょうか。
ダンススキルを上げる
1つはダンススキルを上げることです。ダンススクールでのレッスン、日々の自主練習などを怠らず、プロとして通用するレベルに達することができるよう努力しましょう。記憶力や運動能力は加齢とともに衰えていくので、なるべく若いうちにスキルを磨いておくと、後々楽になります。
イベントなどに積極的に参加して交友関係を広げる
ダンススクールに所属していると、発表会やさまざまなイベントに参加する機会も多く舞い込んできます。イベントに参加することで交友関係を広げれば、オーディション関連の話も入手しやすくなります。
また、イベントでダンス業界で活躍している人の目に留まれば、大きなステージへ羽ばたくチャンスも舞い込んでくるかもしれません。ただがむしゃらに練習をするだけでなく、披露する場にも積極的に足を運び、本番の経験を多く積む、将来に有益な関係を構築することも大切です。
ほかのダンサーのダンスを見て学ぶ
ただ1人で練習をしていても、どこがよくないか、どうすればよりよいダンスをできるようになるかはわかりません。より高みを目指すなら、ほかのダンサーのダンスを見てよい部分を盗むことも重要です。
体の動かし方、表現力を見ることはもちろん、「こういう振り付けもいいな」「この構成は素晴らしい」など、演出面の力も磨くことができます。
最近はYouTubeなどでも多くのダンス動画を見ることができるので、ぜひさまざまなダンサーのダンスを見て勉強する時間も作ってください。
進学に向け勉強する
ダンスの仕事に就きたいからといって毎日ダンスばかりするのではなく、進学に向けた勉強も怠らないようにしましょう。特に、大学に進学したい、進学後に教員などの免許を取得したいという人は、授業の予習復習はもちろん、受験勉強にも力を入れ学力アップも図る必要があります。
いくらダンスを頑張りたいといっても、学生にとって最も大切なのは勉強だということを忘れないようにしましょう。
まとめ
今回は、ダンス関係の仕事にはどのようなものがあるか、ダンスの仕事に就くための進路などを紹介しました。
ダンス関係の仕事は表舞台に立つダンサー、振り付けや演出をする裏方、ダンス講師やスタジオスタッフなどの大きく3つに分けられます。どこで活躍したいのかによって磨くべきスキルは異なりますが、まずは高校生のうちにダンススキルを磨き、勉強にも身を入れることが大切です。
どういった仕事に就きたいか具体的な目標を掲げ、夢に向かって日々努力しましょう。