薬学部とは?学ぶ内容や学科の種類、人気の進路について紹介

Edv Magazine 編集部

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薬学部とは?学ぶ内容や学科の種類、人気の進路について紹介

薬学部と聞くと「薬剤師になるための学部」と一般的には思われていますが、実はそうではりません。もちろん薬剤師を目指す人も多いですが、一般企業や公務員など幅広い業界で活躍できる可能性がある学部です。

この記事では、薬学部で学ぶこと学科の種類進路や就職先などについて紹介します。意外と知られていない薬学部卒の進路について知れば、これまで持っていた薬学部へのイメージが変わるかもしれません。理系に進む人はぜひ読んで参考にしてみてください。

薬学部で学ぶこと

薬学部とは、医薬品などの薬品に関する研究を行う学問のことです。薬の効果・効能や製造・管理方法など、薬に関わることを幅広く学びます。

薬学で研究する対象は、医薬品はもちろん食品添加物や洗濯・台所用洗剤、消毒薬や殺虫剤など、生活に身近な化学製品を含んでおり、毒性や薬効といった人体への影響、予防・治療法などあらゆることを研究します。

薬学部では、大きく分けて「基礎薬学」「医療薬学」の2つを学びます。

基礎薬学

基礎薬学は、薬を創ることに焦点を置いた学問です。薬学に欠かせない化学や生物学などの基礎を身に付けたうえで、薬の化学的な分析や作用・副作用の検証など、薬の開発に必要な知識を学びます。

医療薬学

医療薬学は、薬を使うことに焦点を置いた学問です。医療従事者のサポートや患者とのコミュニケーションといった実践技術を学び、薬の調合や投薬、管理などの知識を学びます。

薬学部の種類

薬学部には、薬剤師を目指す「薬学科」(6年制)薬の研究・開発者を目指す「薬科学科」(4年制)があります。

薬剤師を目指す「薬学科」(6年制)

薬学科では、薬剤師になるために必要な高度な専門知識を身に付け、薬剤師国家試験の受験資格を得て合格することを目指します。医療の高度化や複雑化、高齢化社会に適応する薬物治療を実現するため、薬学の基礎と応用知識、技術を学びます。大学によっては薬学科を「医療薬学科」と呼びます。

研究・開発者を目指す「薬科学科」(4年制)

薬科学科では、医薬品を創るために必要な薬科学の知識と技術を学びます。創薬には幅広い知識と専門性が必要です。人体の仕組みや病気の原因を理解し、病気を治すための適切な薬品選定や、医療現場で薬が適切に使われるための知識を身に付けます。大学によっては薬科学科を「創薬科学科」と呼びます。

薬学部の授業内容

薬学部は学科によらず、1年次は高校で学んだ化学生物学をさらに深く掘り下げて学習します。また他学部と同様に、一般教養や語学、倫理・法律なども学びます。

2〜4年次にかけて専門科目の生理学・薬学・医学・看護学・栄養学などの分野を学び、実習も行われるようになります。

薬学科の場合、4年次で「薬学共用試験」に合格しなければ進級できません。薬学共用試験は知識を問われる試験(CBT)と実技試験(OSCE)の2つから構成され、5年次より始まる実務実習に必要な知識や能力が身に付いているか判断されます。

薬学共用試験に無事合格すると約5ヶ月間薬局や病院で実務実習にあたります。6年次では卒業研究を行いながら、本格的に国家試験対策の勉強をすることになります。

薬学部の学費

薬学部の学費は、国公立の場合は他学部と同様に年間約60万円前後です。

一方で私立の場合は、最低でも年間約200万円以上はかかるといわれています。

ちなみにほかの医療系学部でいうと、医学部(私立)は年間約300〜600万円、看護系学部(私立)は約150万円前後かかります。

薬学部に向いている人

薬学部に向いている人のタイプを3つ紹介します。

几帳面で集中力がある

薬の取り扱いには、細かな作業・計測が求めらます。少しでも量を誤ると、副作用を引き起こしてしまう危険性があるからです。また、似た薬品でも役割がまったく違うものも存在するため、薬の取り違えは絶対に避けなければいけません。どんなときにも手を抜かず、一つひとつ確実に行える几帳面さや集中力がある人が薬学部に向いているでしょう。

変化に適応できる

薬学は、新薬が登場したり、法改正によって薬の使用法が変わったり、一般的だった治療薬がほかの代替薬に変わったりなど変化の多い領域です。そのような変化に常に関心を向け、学び続ける力が求められます。

コミュニケーションをとるのが好き

特に薬剤師を目指す人に求められるのが、コミュニケーション能力です。薬剤師は、ただ薬の調合をするのが仕事ではありません。

たとえば、患者に薬の服用方法や効果について説明したり、服用後に薬の効果がでているか、副作用はないかなどフォローする役割を担うため、コミュニケーションをとるのが好きな人が薬学部に向いているといえます。

薬学部卒業後の進路

薬学部を卒業する学生に人気の就職先や進路を5つ紹介します。

薬局や病院の薬剤師

全体的に最も人気の高い就職先が、薬局や病院で薬の処方・指導にあたる「薬剤師」です。目の前の患者の治療や回復状況を把握しながら、調合している薬が役立っていることにやりがいを感じます。

一般企業の研究・開発職(製薬・化学・食品メーカーなど)

薬科学科の卒業生に人気なのが、一般企業や研究機関への就職です。

たとえば、製薬会社では新薬の研究・開発に取り組み、化学・食品・化粧品などの企業では新製品の開発に携わります。製品開発は、文系学部にも人気の職業ですが、企業としては理系研究職の求人ニーズが高いです。

公務員(福祉・医療行政機関など)

薬学部を卒業して、公務員になる人もいます。国の薬事行政に携わる国家公務員薬事衛生や食品衛生などに関わる地方公務員や保健所職員など、人々の生活と健康を支える仕事が人気となっています。

MR(医薬情報担当者)

医薬情報を医師や薬剤師に提供するMR(医薬情報担当者)も人気職種の一つです。MRは製薬会社の営業担当であり、薬や医療機器の品質や有効性・安全性などの情報提供を通して、最適な処方薬や機器などの自社製品を医師・病院に売り込んでいきます。

大学院への進学

薬学部を卒業後、大学院へ進学する学生も多いです。特に薬科学科卒業生の場合、大学院で規定の実務実習を受ければ薬剤師国家試験の受験資格を得られることが大きな人気の理由です。ほかにも、一般企業の研究・開発職は院卒を求めることが多いのも要因の一つでしょう。

まとめ

今回は、薬学部で学ぶ内容や学科の種類、人気の進路について解説しました。

要点として

  • 薬剤師を目指す「薬学科」(6年制)と薬の研究・開発者を目指す「薬科学科」(4年制)がある
  • 就職先・進路は、薬剤師だけでなく、一般企業(製薬・化学・食品メーカーなど)の研究・開発職公務員大学院進学など多岐に渡る
  • 几帳面な人変化に適応できる人コミュニケーションを取るのが好きな人が向いている

ということを押さえておきましょう。

医療分野のなかでも、薬やワクチンそのものや研究開発に興味がある人は、ぜひ薬学部も進学先として検討してみてください。「他の進路についても気になる」「進路に悩んでいる」という方は、進路の参考になる記事をこちらから探してみてください

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