ゲームをすることが好きで、将来はゲームに関わる仕事がしたい。けれど「どんな仕事があるのか分からない」「どういう進路を歩めばいいのか分からない」と悩む人は多いのではないでしょうか。
この記事ではゲームの仕事の種類や、ゲームの仕事につくための進路のパターン・どんな就職先があるのかについて紹介します。またゲームの仕事の将来性についても解説しますので、ゲーム関連の仕事に興味がある人はぜひ参考にしてみてください。
ゲームの仕事【開発編】
ゲームの仕事の種類は主に「開発」と「非開発」の種類で分けることができます。
開発とはゲームを企画し、実際に制作するまでの段階です。非開発とはゲームが出来上がったあとで活躍する仕事のことです。具体的にはゲームをユーザーに認知してもらい、実際にプレイしてもらうために施策を打つ仕事であったり、プレイをすることで収入を得ることができるプロゲーマーなどがあげられます。
ここではまず「開発」での仕事の種類を紹介します。
(※各職種の給与は「デジタルコンテンツ制作の先端技術応用に関する調査研究 報告書|財団法人JKA」を参考にしています)
①ゲームプロデューサー
ゲームプロデューサーはゲーム作りの方向性を決める人です。
総括責任者となり、予算やスケジュール・人員編成などゲーム開発体制を統括します。経験値が求められるポジションなので、ディレクターやプランナーなど他の職種を経てプロデューサーになるのが一般的です。
プロデューサーはゼネラリスト(=広範囲にわたる知識を持っている人)と呼ばれることが多く、現場から一歩引いて俯瞰的に物事を判断できる知見を持ち、責任感のある人に向いた職業です。
ゲームプロデューサーの平均年収は692万円であり、ゲーム関連職では高収入の部類に入ります。
②ゲームディレクター
ゲームディレクターとは制作現場全体のリーダーにあたる人です。
ゲームプランナーが作成した仕様書から、現場で指揮を取り、プロジェクトの進行管理を行います。ゲームプロデューサーがプロジェクト全体を統括するのに対し、ゲームディレクターは制作現場を統括します。
ディレクターは映画でいうところの映画監督にあたる存在です。さまざまな分野のスペシャリストたちを一つにまとあげる力が求められるポジションなので、集団の中でリーダーシップをとっていきたい人に向いています。
ゲームディレクターの平均年収は563万円です。
③ゲームプランナー
ゲームプランナーはゲームの概要や制作手順のプランを細かく立てる人です。
プロデューサーやディレクターが決定したゲームの大枠から、細かなこと(例えば武器の種類はいくつにするか・どのような画面を用意するかなど)を記した「仕様書」と呼ばれるものを作成します。仕様書を各部門のスタッフに渡し、デザイナーやプログラマーはここから作業を開始することができます。
ボスを強くしすぎたり、キャラのレベルがアップしづらかったりしてしまうと、ユーザーは不満を感じてしまいます。そのためプランナーはゲーム全体でユーザーが必要以上にストレスを感じずに進行でき、かつ辻褄が合うよう設計しなければなりません。論理的思考力を持った人が求められる職種です。
ゲームプランナーの平均年収は409万円です。
④ゲームシナリオライター
ゲームシナリオライターはゲームのストーリーや展開を考える人です。
キャラクター一人ひとりの性格やエピソードなど、ゲームの世界観を細部まで作り上げます。
ストーリーやセリフが魅力的だと、ユーザーがお気に入りのシーンについてSNS投稿したり特定のキャラに熱狂的なファンが生まれたりと反響が大きくなるので、やりがいのある仕事です。物語を考えることが好きであり、想像力豊かな人におすすめです。
ゲームシナリオライターの平均年収は430万円です。日本人の平均年収が436万円なので、平均に近い値です(※参考:国税庁の民間給与実態調査)。
⑤ゲームグラフィックデザイナー
ゲームグラフィックデザイナーはキャラクターや背景、アイテムなど目に見える全てのグラフィックを手掛ける人です。
グラフィックには以下のようなものが当てはまります。
- タイトル画面
- 背景グラフィック
- キャラクター
- モーションデザイン(キャラクターの動作を作る)
- エフェクトデザイン(風の揺れや爆発の光)
昨今ゲームは平面(2D)から立体(3D)が主流になってきているため、グラッフィクデザイナーにも3Dでデザインする技術力と発想力が求められています。
ゲームグラフィックデザイナーの平均年収は423万円です。
⑥ゲームプログラマー
ゲームプログラマーは企画や仕様に合わせてゲームが動くようにプログラムを組む人です。
ゲームプランナーが考えた仕様書に基づいて、以下のような要素をプログラミングしていきます。
- キャラクターの動き
- ゲーム内のBGM
- ゲーム内の効果音
- サウンドの設定
- エフェクト
- システム構築
未経験採用の例はあまりなく、プログラミングできることが必須の条件であるため、学校や専門スクールを利用して基本的な技術を習得しておく必要があります。
また技術力だけでなく、開発中はバグの原因究明や修正、仕様変更への対応などを繰り返し、納期までにゲームを完成させなければならないため忍耐力が求められます。
ゲームプログラマーの平均年収は464万円です。
⑦サウンドクリエイター
サウンドクリエイターはゲームを演出するBGMや効果音、環境音などサウンドを作り出す人です。
サウンドクリエイターの仕事内容は主に2つあります。1つ目はゲームサウンドの制作です。プロデューサーやプランナーと話し合いを重ねながら、ゲームの世界観を表現したサウンドを制作していきます。
2つ目は音響コントロールです。ゲームの中で複数の音が重なり、お互いの音を打ち消し合わないよう音響を微調整していきます。プレイヤーに違和感を与えずプレイしてもらうためには大事な工程です。
作曲や演奏をすることが得意な人にはおすすめの職種です。
サウンドクリエイターの平均年収は559万円です。
⑧ゲームテスター
ゲームテスターは開発中のゲームが問題なくプレイできるか、発売前にテストプレイする人です。
別名「デバッガー」とも呼ばれます。ゲーム制作会社の品質管理部門に所属することもあれば、アルバイトがテストプレイをすることもあります。
ゲームとしての完成度を上げるために、プレイ中のバグを見つけて指摘することが重要であるため、細かいところにも気付けるような人が向いているでしょう。
ゲームテスターの平均年収は258万円です。日本人の平均年収と比較すると低めではありますが、経験を積み一般のゲームテスターでは発見できないような複雑なバグを見つけられるようになれば、ゲームテスターのスペシャリストとして年収500万以上を目指すこともできます。
ゲームの仕事【非開発編】
次にゲーム開発後に関わっていく仕事の種類について紹介します。
⑨ゲームの営業
営業とはゲームが開発された後、売り込みにいく人のことです。例えばおもちゃ店や複合書店といった小売店に対して、自社のゲーム製品を販売してもらうよう交渉します。人員や時間などコストを費やして作り上げたゲームも、買ってもらえなければ意味がありません。営業がセールスして売上を重ねることで、会社の利益や次の製品開発につながります。
営業はゲームの魅力を取引先に上手く伝えたり、良好な関係性を築く必要があるため、提案力やコミュニケーション能力が求められる職種となっています。
⑩ゲームの宣伝
宣伝とは開発されたゲームをたくさんの人に知ってもらうための施策を立案・実行する人のことです。
ゲームのCMを作ったり、宣伝イベントの企画・運営をします。宣伝の仕事ではゲームの内容や世界観をユーザーにわかりやすく伝え、かつ「このゲーム面白そう!プレイしたい!」とユーザーに思わせることが重要です。
そのためゲーム市場やターゲットユーザーの動向をを調査したり、ゲームの魅力を的確に伝えるためのアイデアを考えたりするなど分析や企画が好きな人におすすめです。
⑪ゲーム実況者
ゲーム実況者とはゲームをプレイする動画をYouTubeなどの動画サイトに投稿する人のことです。
プレイ動画に広告を載せて、その広告から収入を得るのが一般的です。動画がたくさん再生され人気ゲーム実況者になることができれば、ゲーム実況者専門の事務所に所属したり、ゲーム会社から「うちのゲームを実況して、宣伝してほしい」と依頼を受けることもあります。
ゲームを解説することが好きな人にはおすすめの職業です。
⑫プロゲーマー
プロゲーマーとはゲーム大会で得た賞金や、スポンサー企業による支援を受けてゲーム競技を行う人たちのことです。
プロスポーツ選手のゲームバージョンといえます。競技性の高いゲームは「eスポーツ」と呼ばれることもあります。
日本でプロゲーマーという言葉が知られてきたのはここ数年ですが、現在世界のeスポーツの競技人口は1億3000万人といわれており、欧米や韓国では10年以上前からプロゲーマーという言葉が存在していました。
ゲームをプレイすることが得意であり、かつ大会で上位を獲得できるような実力が求められます。
ゲームの仕事に就くための進路のパターン
次にゲームの仕事に就くための進路のパターンを紹介します。
大学・短大に行く
1つ目は大学や短期大学に進学することです。ゲームの仕事に就くために必須の資格はありません。
しかしゲームグラフィックデザイナーになりたい場合は美術やデザインを学べる学科、サウンドクリエイターになりたい場合は音楽系の学科など、専門的なことを学んでおくと就職の際に有利になるでしょう。
ゲームプログラマーの場合もプログラミング言語を学ぶために情報工学を学べる学科を選ぶことをおすすめします。
またディレクターやプランナーなどの企画職を目指す場合はより広い視野が求められるため、大学を卒業している方が就職に有利な企業もあります。
目指せる仕事 | 学ぶべきこと | おすすめの大学 | 特徴 |
ゲームプログラマー | プログラミング言語 =情報工学・画像音響工学・メディア学 | 東京情報大学 総合情報学部 総合情報学科 | プログラミング言語を初心者は基礎からじっくり学べる |
ゲームグラフィックデザイナー | デザイン系コンピューター系 | 宝塚大学 東京メディア芸術学部 メディア芸術学科 | VR・プロジェクションマッピング・ゲーム開発など最先端のメディア表現を学べる |
サウンドクリエイター | 音楽系 | 玉川大学 芸術学部 アート・デザイン学科 | メディア表現コースではコンピューター音楽・音楽理論について学べる |
上の表では専門的なことを学ぶために職種別におすすめの大学をピックアップしました。なりたい職種が決まっている人はぜひ参考にしてみてください。
専門学校に行く
2つ目は専門学校に進学することです。ゲームの仕事に就くためにより専門的なことを学ぶことができるため、企業に就職してすぐに即戦力となることができるというメリットがあります。
おすすめの専門学校 | 目指せる仕事 |
専門学校 東京クールジャパン ゲーム総合学科 | ゲームプログラマー・ゲームプランナー・ゲームグラフィックデザイナー・ゲームライター・サウンドクリエイター・プロゲーマー |
日本工学院 専門学校 ゲームクリエイター科4年制 | ゲームプログラマー・ゲームプランナーゲームグラフィックデザイナー |
東京情報クリエイター工学院専門学校ゲーム制作コースゲームプログラミングコース | ゲームプランナー・ゲームプログラマー・ゲームグラフィックデザイナー・ゲームクリエイター・キャラクターデザイナー |
ゲーム関連の就職先
最後に大学・短大・専門学校を卒業後どのような働き方があるのかについて紹介します。
パブリッシャー(ゲーム販売会社)に就職する
1つ目はパブリッシャーに就くことです。パブリッシャーとはゲームの企画・開発・販売をする会社のことをいいます。後述する「デベロッパー(ゲーム制作会社)」が開発したソフトの販売も担うこともあります。具体的には任天堂やソニー、スクウェア・エニックス、セガサミーなどが挙げられます。
デベロッパー(ゲーム開発会社)に就職する
2つ目はデベロッパーに就くことです。デベロッパーとは、主にパブリッシャーが企画したゲームの開発を行う会社のことです。パブリッシャーに比べると知名度は劣りますが、PlayStation向けのゲーム開発を行うノーティードッグ、『ファイアーエムブレム』シリーズのインテリジェントシステムズなどが挙げられます。開発に特化しているため、働く人も開発者が多数を占めています。
まとめ
今回はゲーム関連の職種と進路について解説しました。「ゲーム」と一口にいっても仕事内容は職種によって大きく異なることが分かったと思います。まずは各職種の仕事内容や特性を踏まえ、自分はどの職につきたいか方向性を定め、進路を検討してみてください。