さまざまな技術の進化に伴い、仕事の幅が広がった職種も増えていますが、近年著しくフィールドを広げている仕事の1つが映像系です。映像系の仕事、と一言でいっても企画から撮影、編集まで多くの人の手が加わっています。
そんな映像系の仕事に就きたいと思ったら、まず知りたいのが具体的な業種や年収などではないでしょうか。今回は、映像系の仕事にはどんなものがあるか、気になる年収や将来性、そして高校生が映像系の仕事に就くためにおすすめの進路などを紹介します。
映像系の仕事15選
早速、映像系の仕事をみていきましょう。
①映画監督
映画監督は、映画を制作する際に現場の指揮を取る仕事です。キャストやスタッフを決めたり構成を考えたり、撮影中には演技指導なども指示したりします。撮影が終わった後も編集に関わったりと、1本の映画を作り上げるのに初めから終わりまで関わります。
映画監督は映画を作るにあたってのさまざまな専門知識が必要のほか、スタッフやキャストなど多くの人をまとめるリーダーシップも求められます。
②テレビ局社員
テレビ局社員は、テレビ番組制作の際のさまざまな業務に携わったり、スポンサーを探したりする仕事です。テレビ放送に直接関わる人たちは放送部、撮影や音響、編集など技術面を担う人は技術部に所属し、このほかにも営業や事務などを担う部署が存在します。
それぞれの部署で必要なスキルは異なりますが、各々持っている知識や技術を活かしながらテレビ局を支えています。
③制作会社社員
制作会社社員は、テレビ番組の制作をメインに行う仕事です。制作会社にも、テレビ番組の放送部、技術部に属すような役割の人が複数働き、日々決められた予算、期間内での番組制作を行っています。
テレビ局の社員や社内でさまざまな部署に異動をすることもありますが、制作会社の場合は1つの職種に特化し、その道のプロとして成長していく人が多い傾向にあります。
④YouTuber
YouTuberは、動画サイト「YouTube」に自身の制作した動画を投稿し、広告収入を得ている仕事です。動画の内容はさまざまで、再生数やチャンネル登録者数が多ければ多いほど、収入は多くなります。
YouTuberのなかには撮影や編集などをプロに委託し、自身は動画の構成や出演のみを担当するという人もいますが、編集なども全て自身で行うYouTuberも少なくありません。この場合、いかに面白く多くの人の目に留まる動画が作れるかはもちろん、動画撮影や編集の技術も必要です。
⑤ディレクター
ディレクターは、テレビ局などで、番組を制作する際に指揮を取る仕事です。ディレクターは番組制作がスムーズに進行できるよう、スタッフに的確な指示を出さなければなりません。
また、ときには生放送中のトラブル対応や出演者への演技指導などもする必要があり、現場での豊富な経験や番組制作における多くの知識が求められます。
⑥制作デスク
制作デスクは、番組制作を現場ではなくオフィスからサポートする仕事です。たとえば番組出演者のスケジュール管理、控室や編集室を押さえる、他番組への許諾を取り付けるなど、事務的な仕事を一挙に担います。
制作デスクは事務作業がメインなので、テレビ番組の制作現場へ行くことはほとんどありません。特別な技術は不要なので、未経験のひとでも映像関係の仕事に関わりやすい職種だといえます。
⑦プロデューサー
プロデューサーは、テレビ番組を制作する際の総合的な責任者です。制作現場のトップはディレクターですが、プロデューサーはその上の立場で、予算の管理からキャスティング、企画の確認などさまざまな面で決定権を持っています。
現場においては一歩退いた場所から全体をみて、円滑に制作が進むように関わります。プロデューサーは視聴者が楽しめるような番組を正しく制作ができるよう導く重要な役割です。
⑧構成作家
構成作家は、テレビ番組の構成を考える仕事です。別名放送作家とも呼ばれ、番組の企画を練るところから始まり、決まった企画内容からセリフや場面設定、ナレーションなどの台本作りをします。
構成作家は制作現場にも足を運び、出演者に指示を出したり細かな修正をしたりもします。よりよい番組になるよう、番組制作の最初から最後まで関わる大切な仕事です。
⑨CGデザイナー
CGデザイナーは、コンピューターを使って2次元や3次元のグラフィックスを作る仕事です。CG技術は年々進化しており、アニメや映画、ゲームなどさまざまな場面で重宝されています。
CGデザイナーは専用ソフトを操作できることはもちろん、グラフィックスに関する知識、技術力を持っていることが求められます。
⑩アニメーター
アニメーターは、アニメーションのもとになる絵を描く仕事です。ドラマやバラエティ、報道番組などリアルな人間が出演する番組の制作だけでなく、アニメ制作も立派な映像系の仕事の1つだといえます。
アニメーターとして一流になるには長い下積みが必要で、動画や原画を作る仕事に長年関わると、アニメーターたちが描いた絵をチェックする作画監督になることができます。
⑪照明スタッフ
照明スタッフは、映像制作の際に照明を操り演出する仕事です。テレビ番組の制作現場にももちろん照明スタッフはいますが、ほかにもコンサートや演劇などの舞台、ファッションショーをはじめとしたさまざまなイベントでも活躍します。
照明スタッフは作品の世界観がより引き立つような照明にするため、ディレクターと相談しながらライティングをします。
⑫音響スタッフ
音響スタッフは、映像制作の際に音響全般を担当する仕事です。マイクの種類や設置場所を決める、音のバランスを調整する、BGMや効果音などを入れる、音声を編集するなど、仕事の内容は多くあります。
音響スタッフは単に音響に関する知識や技術があるだけでなく、最新の機材を使いこなし、デジタル化に対応できることも重視されます。
⑬美術スタッフ
美術スタッフは、映像制作に使用する小道具やセットを作る仕事です。演技で使う小物の制作や調達から、大掛かりなセットの制作まで仕事の内容は幅広く、モノづくりが好き、得意でないとなかなか勤まる仕事ではありません。
制作現場の規模が大きいと、美術スタッフをまとめる美術監督や大道具、小道具担当と細かく役割が分かれますが、小さな現場では全てをスタッフ皆で担うこともあるため、さまざまなものを制作できる技術が必要です。
⑭カメラマン
カメラマンは、映画やテレビ番組などを制作する際に、演技やスタジオの様子をカメラに収める仕事です。より美しく、見やすい映像を撮影する技術が必要であり、またトラブルなどにも臨機応変に対応できなければ、一流のカメラマンにはなれません。
カメラマンはスタジオだけでなく屋外や水中、暗闇などさまざまな環境で撮影をしなければならず、こうした特殊な場面での撮影を専門にする人もいます。
⑮スイッチャー
スイッチャーは、画面の切り替えをする仕事です。映像制作の現場では、複数のカメラで撮影をする、複数の現場から映像を送ることもあります。そんなときディレクターの指示に従い、画面の切り替え(スイッチング)をするのがスイッチャーです。
ただ画面を切り替えるだけでなく、合成や字幕などを入れるのもスイッチャーの仕事の1つ。ディレクターとしっかり連携を取りながら、よりよい映像になるようなスイッチングができるような経験と技術が求められます。
映像系の仕事に必要なスキルは?
映像系の仕事に就きたいと思ったら、どういったスキルを磨いたらよいのでしょうか。また、「自分は映像系の仕事に向いているだろうか」と考える人は、映像系の仕事に向いているのはどんな人か、自分がそれに当てはまっているのかもチェックしましょう。
磨きたいスキル
映像系の仕事に就くために磨きたいスキルには次のようなものがあります。
- クライアントや監督の意向に沿う映像を撮影するスキル
- 膨大な撮影データから作品を納期までに仕上げる編集スキル
- スタッフを統率し、円滑に撮影・制作を進行するマネジメント能力
ただ好きな映像を作るのではなく、予算や要望に沿った映像が作れるかどうか、制作にあたり、コンプライアンスに違反せず、常識的な映像を制作できるかなどは非常に重要です。また、映像制作現場で上に立つのであれば、スタッフとコミュニケーションを取り、適切なマネジメントができなけれなばりません。
さらに、カメラマンや美術、音響、照明など技術的なスタッフを目指すのであれば、専門的な知識や技術が必要なのはもちろん、最新の機材やツールをすぐに使いこなせる力も求められるでしょう。
映像系の仕事に向いている人
映像系の仕事に向いているのは次のような人です。
- 自ら学ぶ姿勢がある
- 技術面でのスキルがあり、それを磨ける
- スケジュールが守れる
- 急なトラブルにも臨機応変に対応できる
- 体力がある
映像系の仕事はどれも専門的な知識や技術が求められることが多いので、そういったスキルがあることはもちろん、自ら学び、それをさらに磨ける人が向いているといえます。
また、舞台や生放送の現場では思いもよらぬトラブルが起こることもあるため、臨機応変に対応できる人は、より映像系の仕事に向いています。さらに、深夜にまで及ぶ撮影や重い機材、セットの持ち運びなど職種によっては日頃から体力を使うものもあります。深夜や早朝に撮影をすることもありますので、映像系の仕事に就きたいのであれば、体力に自信がなければ厳しいかもしれません。
映像系の仕事の年収
映像系の仕事の年収は、職種や正社員か契約社員か、フリーランスかなどによってもバラつきがあり、一概に「これくらい」ということはできません。フリーランスの場合は現場の数によっても年収に大きな差が現れるので、より多くの現場に関わることで、年収アップを見込むことができるでしょう。
ちなみに、映像制作の会社に正社員で入社した場合、平均年収は600万円前後だといわれています。大手テレビ局には年収700〜1000万円のスタッフも存在し、比較的収入のよい仕事だといえます。
将来性は?
テレビ番組は日々放送されており、加えて最近はビデオオンデマンドやネット番組なども増加しています。映像技術も日々進化しており機械化が進んでいる部分もありますが、やはり人の手が加わらないとどうにもできない部分は多いです。
映像は人々の娯楽でもあり、欠かせない存在ですので、今後も映像系の仕事の需要は大いにあるといえるのではないでしょうか。
映像系の仕事に就くための進路
高校生が将来映像系の仕事に就きたいと思ったら、まずは卒業後の進路を考える必要があります。映像系の仕事に就くための進路は大きく3つです。
専門学校
1つは専門学校への進学です。映像関係のさまざまな職種について、ピンポイントで専門的に学べる専門学校から、映像を作るための全般的な知識や技術を実践的に学べる専門学校まで、さまざまな専門学校が全国にあります。
専門学校に進学する最大のメリットは、2年間で映像系の仕事に関する知識や技術をたくさん学ぶことができる点です。専門学校は実習なども多いので、「絶対にこの仕事に就く」という目標がすでにある人は、専門学校への進学がベストでしょう。
映像系の専門学校で有名なのは、東京工学院専門学校やHAL、京都コンピュータ学院、ヒューマンアカデミーなどです。ホームページを参照したりオープンキャンパスに参加したりして、学びたいことに合った専門学校を見つけてみてください。
大学
映像系の仕事に就くための講義を取り入れている大学も、全国には複数あります。有名なのは玉川大学や大阪芸術大学、名古屋学芸大学、日本大学などでしょう。
大学進学のメリットは、映像系の仕事以外も視野にいれながら、興味のある講義に参加したり、講義以外の時間をアルバイトや自身の勉強に使えることです。専門学校とは異なり、大学生は自由な時間も多いので、映像系以外の資格を取得したり、アルバイトやボランティアをしたりすることができます。
映像系の仕事に興味はあるけど、将来がしっかりと決め切れていない、という人は大学に進学するのがよいのではないでしょうか。
就職もアリ?
進学をしないで映像系の仕事に就職するというのも、選択肢として挙げられます。しかし、映像系の仕事は特殊な知識や技術が必要であるものが多いので、高卒で就ける職種は限られてしまいます。
高校生のうちから動画編集などを独自で学び制作会社に就職する、というのも1つの方法でしょうが、より高い技術、専門的な知識を身に着けてからのほうが、現場で活躍できる可能性は高いです。
悩むのであれば、進学を検討することをおすすめします。
まとめ
今回は、映像系の仕事にはどのようなものがあるか、映像系の仕事に向いている人や進路などを紹介しました。映像系の仕事にはさまざまなものがありますが、どれも専門的な知識や技術が必要である場合が多く、体力やとっさの対応力が求められます。
映像系の仕事に就きたいと思ったら、まずは専門学校や大学へ進学し、より高いスキルを身に着けながら、なりたい職種、入りたい会社に入れるよう努力していきましょう。