インターンシップとは、学生が企業で一時的に働く職業体験のことです。インターンに参加すると業界研究や企業研究ができるのはもちろん、社会人や多様な同世代との交流を通して価値観が広がります。
今回は、インターンの概要や意義、メリットを解説し、実際にインターン情報を探す方法までを紹介します。
インターンとは
インターンシップ(以下、インターン)とは、学生が一定期間ある企業で実際に働く職業体験のことです。企業の社員や参加学生との実際の業務やグループワークなどを通じて、実際の業務や働くことへの理解を深めることができます。
インターンとアルバイトの違い
アルバイトは労働対価として収入を得ることが大きな目的であるのに対し、インターンは、仕事を理解したり仕事への適正を見たりすることが大きな目的です。
また採用面からすると、アルバイトはできるだけ多く勤務できる人を優先しますが、インターンは学生の採用を目的としているので、授業や部活などの課外活動に柔軟に対応してくれることが多いです。
インターンの種類
インターンには、1日単位のものから、数ヶ月〜数年単位のものまでさまざまな種類があります。学校の春休みや夏休みなどの長期休暇を利用するのことが多いですが、長期インターンは授業が少なくなった上級生が平日にインターンに参加することも増えてきました。
1dayインターン(1日のみ)
1dayインターンとは、多くの大企業が行う1日のみのインターンです。実際に働くというより、業界や業務内容の説明や4~5名程度でのグループワーク、働いている社員との交流など説明会を深く掘り下げたような内容であることが多いです。気軽にさまざまな業界を知りたい人におすすめです。
短期インターン(1週間~1ヶ月程度)
短期インターンは、学校の長期休みを利用して参加する人が多いです。夏休みはサマーインターン、冬休みはウィンターインターンと呼ばれます。1週間~1ヶ月程度のものが多いです。インターンが選考となっているケースもあり、グループワークでの働きや発想力、スキルによって本採用が決まったり、就職試験の一部が免除になったりする企業もあります。
長期インターン(1ヶ月以上)
長期インターンは、ベンチャー企業を中心に増えてきました。数ヶ月〜数年間、企業の一員として実際の業務を行います。時給や日給など給与形態はさまざまですが、ほとんどの場合給料が出ます。
長期インターンは短期インターンとは違って、企業に勤めて実際の業務を社員と行っていくので、社会人になったときに即戦力となれるようなスキルを身に付けられるでしょう。
インターンに参加するメリット
インターンに参加することで得られる大きなメリットを5つ紹介します。
やりたいことや関心を見つけられる
将来やりたいことが決まっていない人は、実際に働く環境へ飛び込むことで自分のやりたい分野や関心を絞り込めるでしょう。インターネットや本ではわからない、具体的な業務内容や生の雰囲気を知ることは自己分析にもつながります。
興味のある業界や企業の実情を知れる
業界や企業のことは本や学校で概要は知れますが、実際に働いてみないとわからないことも多くあります。職に就いてから想像と違ったと嘆くことがないよう、インターンで得た経験をもとに判断することでミスマッチを防ぎましょう。
働くことを具体的にイメージしやすくなる
企業によりますが、インターンにいくと営業職やエンジニア・デザイナー、企画・マーケティング職、ライター・編集、事務職などさまざまな職種の人に出会うことができます。
現場で一緒に働くことで、それぞれの職種の仕事ぶりをみて視野が広がったり、自分に向いているかどうかわかったりします。もちろん社会人としてのモラルやマナーを体験できるので、社会人として働く心構えもできるでしょう。
価値観や年代が異なる人たちに出会える
大学では仲の良いコミュニティ内でおさまることが多く、狭い価値観の中で過ごしてしまいがちです。しかしインターンに参加すれば、他大学の友人や社会人と出会えるのでさまざまな価値観・考え方に触れ視野を広げることができます。今までの考え方をガラリと変えてくれる人に出会ったり、将来の指針が見えたりなど大きなきっかけがあるかもしれません。
早く内定をもらえる可能性がある
ベンチャーや中小企業を中心に、長期インターンに参加してくれた学生に対して就活が本格化するより前に内定を出す企業も出てきました。日本の多くの大企業では6月に選考解禁、10月に内定を出す流れとなっているので、これより前に内定をもらえることは心の余裕に繋がるかもしれません。
インターンの申し込み方法
インターンの募集を探すには、大きく4つの方法があります。
短期インターンは、夏休みや冬休みが始まる2〜3ヶ月頃前に募集が始まるケースが多いです。1dayインターンや長期インターンは、時期が決まっていないのでこまめにチェックしましょう。
求人情報サイトやアプリ
最も募集数が多いのはインターネットの求人サイトでしょう。近年は、インターン専門の求人サイトも出てきています。業界・職種や給与など、自分に合う条件で探してみてください。
企業のホームページ
憧れの企業がある人は企業のホームページで採用ページを見てみるといいでしょう。各社でカラーがあり、働いているへのインタビューやオフィスの雰囲気、どんな人が企業にマッチしそうかなど詳細な情報を得ることができます。
大学のキャリアセンター
どの学校にもキャリアセンターというものが設置されています。数は求人情報サイトほどは多くはないですが、就活の情報だけでなくインターン情報もあります。OB・OGが働く企業や、特定大学への求人を紹介してもらえる場合もあるので、自分で一から探すより採用される可能性も高くなってきます。
OB、OGの紹介
尊敬・信頼できる先輩のもとで働きたい場合や、採用される確率を高めたい場合はOB・OGに紹介してもらうのもいいでしょう。部活・サークル、ゼミ、アルバイト先などで人脈を辿って自分から連絡をとってみてください。OB・OGも出身校の後輩からの相談なので、リアルな実情を話してくれたり、インターン受け入れができるか確認してくれたり親身になってくれる傾向があります。
おすすめのインターン情報サイト
おすすめのインターン情報サイトを3つ厳選して紹介します。
Wantedly インターン
大手企業のほかスタートアップ、ベンチャー企業など成長企業が多く掲載されています。
大きなメリットとして、気軽に面談を申し込みやすい点があります。エントリー方法が単なる応募ではなく、「今すぐ一緒に働きたい」「まずは話を聞いてみたい」「少しだけ気になります」の3種類でのエントリーが可能です。興味はあるが自分に合うか不安でも、気軽にエントリーできるのが魅力です。
キャリアバイト
キャリアバイトは、学生向けの就職情報サイトを運営する企業が行っている長期有給インターンの求人情報サイトです。主に給与が支払われる長期インターンや有給インターンが掲載されており、時給も高めな求人が多いことで評判です。雑用としての募集ではなく、ビジネスの中核に近い仕事が探せるでしょう。
参考:キャリアバイト
タイガーモブ
タイガーモブはアジア新興国を中心に、アフリカや南米などの急成長市場で参加できる海外インターンです。その業界は、広告・旅行・貿易・ITなど多岐に渡り、国もシンガポール・ベトナム・カンボジア・インドネシアなどさまざまです。
応募条件は英語力やスキルより、取り組む姿勢ややる気が重視されています。また、世界中にいるインターン生とはオンラインで繋がることができ、国境を越えたコミュニティができるのも魅力です。
インターンを選ぶポイント
インターン先を選ぶ4つのポイントを紹介します。
興味・関心で選ぶ
最初はあまり業界を絞らず、少しでも興味があれば1dayインターンに参加してみるなどして徐々に興味を絞っていくのがおすすめです。そうすることで、本当に自分が関心をもっている業界や企業まで辿り着きやすくなります。
業界・企業で選ぶ
興味のある業界・企業が絞れたら、インターン応募する企業を検討しましょう。各社で具体的にどのような事業を展開しており、将来どんなスキルが身に付けられそうか確認します。余裕があれば、経営状況や業績動向について記載されているIR情報にも目を通しておくこといいでしょう。
経営者で選ぶ
経営者の魅力で選ぶのもおすすめです。なぜなら、経営者について知ることはその企業の考え方についても知ることだからです。経営者の考え方や理念をみて、どれくらい共感できるか判断するといいでしょう。経営者のインタビュー記事や、SNSで発信する経営者の投稿を見てみるといいかもしれません。
プログラム内容で選ぶ
興味のある業界や企業が特に定まらない人は、インターンで体験したいことを軸に探すといいでしょう。とにかく職場体験をしてみたい、グループワークでその業界について考えてみたいなど、目的に合うプログラムを提供する短期インターンに参加してみることをおすすめします。
参考:【2021卒】インターン人気企業ランキング|企業概要やインターンの内容まで
インターン参加前にすること
インターンに参加する前に、やっておくべきことを紹介します。
自己分析
まずは自己分析をしてみましょう。これを行わなければインターン選択の軸ができず、みんなが行っている企業を安易に選んでしまうなど、参加すること自体が目的になってしまいます。
目的が明確でなければ選考突破も難しいうえ、たとえ参加できたとしても意味のない経験になってしまうかもしれません。自己分析をして、インターンでやりたいことや身につけたいスキルなど明確にしましょう。
業界・企業研究
本やWebサイト、たとえば全業界をまとめた業界地図やカオスマップで世の中にどんな業界・企業があるのか調べましょう。たくさんの企業があるので、企業理念や社風など自分に合いそうなものから見ていくといいです。採用サイトは学生が理解しやすいよう易しい文章で書かれていることが多いので、インタビュー記事などから目を通してみるといいかもしれません。
達成目標を立てる
インターンでは、職業体験やワークショップ、セミナーなどさまざまなプログラムが用意されています。どのプログラムが行われるのかを確認し、参加して何を達成するか目標を立てるといいでしょう。たとえば、「業務で必要なスキルを把握する」「参加学生や社員と5名以上話す」などの具体的な達成目標を立てておくと有意義に時間を過ごせます。
インターン参加後にすること
インターンに参加したあとにするべきことを2点紹介します。
インターンの振り返り
参加後は、最初に立てた目標や自分の行動を振り返り、感じたことやよかった点、よくなかった点を考察しましょう。そして、今後の学生生活で意識的に取り組みたいことを決めるといいでしょう。
また、振り返ってわかったことを積極的にアウトプットすることがおすすめです。家族や友人に話したり、日記やブログに書き留めたりすると考えが整理され、成長パターンがわかるなど自己理解に繋がります。もちろん、インターンでの成長体験は一つのエピソードとして就職活動でも役立ちます。
別業界・企業のインターンも調べてみる
参加後に余力があれば、別のインターンにも目を向けてみましょう。違うタイプの企業のインターンに参加してみるのがおすすめです。たとえば、まったく目を向けていなかった業界や企業、あるいは企業規模がまったく違う企業などを見てみてください。別の世界を見ることで、自分がどの業種や企業に魅力を感じているのか明確になっていきます。
まとめ
インターンに参加すると業種・企業理解はもちろん、スキル習得や人脈構築など多くのメリットがあります。なんとなく知っている業界や企業に応募するのではなく、インターンを通して何を経験したいのか明確にし、将来のキャリアを考えるのに役立ててください。