身の回りのジェンダー問題にはどんなものがある?

Edv Magazine 編集部

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身の回りのジェンダー問題にはどんなものがある?

男女平等の実現には「ジェンダー」について考え、ジェンダー問題を解決していく必要があります。しかし日本、そして世界でも男女が不平等であった歴史は長く、未だ多くのジェンダー問題の解決が課題として挙げられています。

今回は、そもそもジェンダーとは何か、私たちの身近にはどういったジェンダー問題があるのかを紹介します。ジェンダー問題を解決するために行われている活動や、高校生にできる活動や学習についても解説しているので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

ジェンダーとは

ジェンダーとは、社会的・文化的な性差のことです。生活のなかで男らしさや女らしさという言葉を耳にしたり、「〇〇をすると男らしくない」「女の子なら〇〇しないと」などといわれた経験があるかもしれませんが、こうした性別による違いは生物学的な性差と共にもともと存在していたわけではなく、社会的・文化的に作られたものです。

こうした性別による考え方をやめようということで、ジェンダーという言葉が使われたり、ジェンダー問題について考える機会が増加しています。

ジェンダーレスとジェンダーフリーは違う?

ジェンダーに関連するワードに「ジェンダーレス」「ジェンダーフリー」があります。どちらも言葉のニュアンスから「性別にとらわれない」という意味であることがわかりますが、厳密にいうと、ジェンダーレスとジェンダーフリーはやや異なります。

ジェンダーレスは、性別の区別そのものをなくそうという考えや、性別の区別がない状態です。一方のジェンダーフリーは、性別による社会的な差別をなくし、公平にできるようにしようという考え方を指します。

性差そのものをなくすというのは簡単なことではありませんが、ジェンダーフリーな社会を実現していくなかで、徐々にジェンダーレスにもなっていくのではないでしょうか。

日本におけるジェンダーフリーの現状

日本でも、ジェンダーフリーな社会を実現するため、ジェンダー問題について考えるさまざまな機会が設けられています。一昔前のような「男尊女卑」的な思想は薄れつつありますが、「子育ては女性の仕事」「男性は家族を養うべき」といったような考えを持っている人も、まだまだ少なくありません。

実際、家庭や学校、職場など生活の中心となる場所はもちろん、地域社会や行政、メディアなどさまざまな場面において、完全なジェンダーフリーは実現しておらず、ジェンダーフリーのための課題は山積みだといえます。

身の回りのジェンダー問題の事例

ジェンダーフリーな社会の実現は未だできておらず、ジェンダー問題が多く残っているといいました。ここからは、身近なジェンダー問題にはどういったものがあるか、具体的に見ていきましょう。

日常生活における性差別

「女の子は赤やピンク」「男の子は黒や青」などと性別でカラーを決める、「男の子だから泣くんじゃない」「女の子らしく静かにしなさい」と性別による特性を押しつけるといったことは古くからありましたが、こうした日常生活における何気ない性差別も、ジェンダー問題の1つです。

「男だから」「女だから」というワードが出てきたら、「ジェンダーフリーではないな」と思ったほうがよいでしょう。

家庭内でのジェンダー問題

家庭内でのジェンダー問題には次のようなものがあります。

  • 男性の意見が尊重される
  • 「夫・妻」ではなく「主人・奥さん」と呼ぶ、呼ばれる
  • 子育てをするのは母親だ
  • 男性は働いているので家庭内での立場が強く、家事をしなくてもよい
  • 介護などをするのは女性の仕事だ

学校でのジェンダー問題

続いて、学校でのジェンダー問題を見ていきましょう。

  • 名簿やロッカーなどが男女で分かれている
  • 男子は「~くん」、女子は「~さん」と呼ぶ
  • 男子にはスポーツ、女子にはインドアな遊びをすすめる
  • 「女の子に負けるな」などと男の子に声をかける
  • 男子=理系、女子=文系という考えがある
  • PTAの役員は女性が多いのに、会長は男性が務める
  • ランドセルの色について「男の子なのに」「女の子なら」といった発言をする

職場でのジェンダー問題

職場でもジェンダーについての問題は少なくありません。以下に当てはまるものが多ければ、性差別の多い職場なのかもしれません。

  • 雑用は女性の仕事だ
  • 女性だけ制服を着用させられる
  • 重要な役職、仕事は男性が担う
  • 飲み会で女性にお酌をさせる
  • 「女は出産をするから」と結婚、妊娠のタイミングで退職をすすめる
  • 子どもが病気のときに男性が休むと文句をいわれたり嫌な顔をされたりする

社会におけるジェンダー問題

地域の関わりにもジェンダー問題は存在します。こうした問題に気づくことも、ジェンダーを考えるうえで大切です。

  • 町内会長は男性が務める
  • 地域行事で表に立つのは男性、裏方は女性が担う
  • 自治体の集まりや近所づきあいをするのは女性だ
  • 男の子と女の子で景品などが違う
  • 男性だけ、女性だけしか参加できないお祭りがある

その他のジェンダー問題

多くの人に影響を与えるメディアや行政などにも、ジェンダー問題は根強く残っています。

  • 議員の割合は男性のほうが多い
  • 「〇〇長」とつく役職は主に男性が担っている
  • 番組司会のメインは男性、サブが女性である
  • 「女社長」「女医」など女性のみ職業に「女」が使われる
  • 「男(女)らしい」「男(女)ならでは」などという表現が使われる

ジェンダー問題解決に向けたさまざまな動き

多くのジェンダー問題が挙げられるなか、ジェンダーについて考える、ジェンダーフリーな社会を実現するためにさまざまな活動をしている団体も存在します。また、家庭や職場、社会など身近な場所でのジェンダー問題解決のためには、どのような動きをすればよいのでしょうか。

ジェンダー平等に関する団体の活動

ジェンダー平等を訴える団体、ジェンダー問題の解決のために活動をする団体は多く存在しますが、具体的にどういった活動をしているのでしょうか。

最も多いのは、ジェンダーについて考えるための講演会をしたり、ディスカッションの場を設けるといったイベント開催です。また、ジェンダーについてより多くの人に知り、考えてもらうためにホームページ内やSNS上でジェンダーに関する用語集を載せる、ニュースを掲載するなど、役立つ情報の発信を行っています。

イベントは大人向けのやや難しめの講演から、子どもがジェンダーについて考える機会を作るためのワークショップまで内容は幅広くあります。さらに、団体の中心となる人物がラジオやテレビ、雑誌などのメディアに露出し、団体についてはもちろん、ジェンダー問題を知ってもらうための活動にも尽力しています。

家庭内での解決に向けた動き

家庭内でのジェンダー問題は、実際に起こっても家庭外に出ることがなく、気づかれにくいです。しかし、家庭内での社会的・文化的な性差をなくしていくためには、夫婦、家族で次のような考えや行動を実践していく必要があります。

  • 「男は仕事、女は家事」という考えをやめる
  • 育児や家事は分担して行う
  • 男性も介護や育児のための休暇を取る
  • 子育てにおいて「男の子らしさ」「女の子らしさ」を押しつけない
  • 色や遊びの内容、おもちゃなどに性別を投影しない

職場での解決に向けた動き

職場でのジェンダー問題解決のためには、次のようなことを意識しましょう。

  • 女性リーダーの積極的な起用
  • 男女にかかわらず、仕事と家庭を両立できる環境を提供する
  • 性によって仕事内容を区別しない
  • 男性の育児休暇について周囲が理解をする

社会での解決に向けた動き

社会でのさまざまなジェンダー問題解決のためには、どういった動きが必要なのでしょうか。

  • 女性議員を増やす
  • 報道において、男女のバランスをよくする
  • メディアや行政に関わる人たちが、ジェンダー先進国である欧米諸国の事例を学ぶ
  • 発信力の強さを自覚し、ジェンダーに関する正しいイメージや知識を伝えていく

高校生ができるジェンダーフリーに向けた活動とは

ジェンダー問題について考える、ジェンダーフリーに向けた活動をするために、高校生はどういったことができるのでしょうか。

イベントに参加して学ぶ・考える

まずはさまざまな団体や自治体が主催している、ジェンダーに関するイベントに参加し、ジェンダーについて学び、考えましょう。イベントは講演会のようにジェンダーに関する知識のある人の話を聞くものから、参加型のものまで幅広く存在します。

自分に合ったもの、ジェンダーについて興味の持てそうなものをぜひ探してみてください。

身近なジェンダー問題に目を向け、声を上げる

ジェンダーについてある程度知識を深めたら、身近な問題に目を向けてみましょう。家庭内や学校、部活、習い事などさまざまな場面で「これはジェンダー問題ではないか」と感じたことをピックアップしてみてください。

そして、その問題が解決に向かうにはどうしたらよいのかを考え、声を上げる、行動にうつせる勇気を持つことも大切です。

ジェンダーについて家族や友人と話し合う

ジェンダーについて1人で考えることももちろん重要ですが、自身のなかである程度知識が深まり、ジェンダーに対する考えが固まってきたら、家族や友人など、周囲の人とジェンダーについて話し合う機会も作ることをおすすめします。

話し合いをすることで、新たな視点からの意見を取り入れることもできますし、多くの人にジェンダー問題について考える場を提供できるからです。

団体に所属して活動する

ジェンダーフリーな社会を実現するためにもっと大きな行動を起こしたいと思ったら、団体に所属して活動をするとよいでしょう。団体に所属すれば、講演などを主催者側として見ることもできますし、ボランティア活動などを通してジェンダーについてさらに深く考えることも可能です。

また、同じ目標に向かって一緒に頑張る仲間と出会えることで、よりジェンダーについて考える、動くための活力にもなるのではないでしょうか。

まとめ

今回は、身の回りのジェンダー問題にはどういったものがあるのか、解決のためにどういった行動をするとよいのかなどを紹介しました。ジェンダー問題は長年解決に向けさまざまな人や団体が行動を起こしていますが、短いスパンでどうにかできるものではありません。

ジェンダーフリーな社会を目指すには、高校生のような若い世代が声を上げることも非常に重要です。受験に向けた勉強ももちろん必要ですが、身近な社会問題について考え、行動することも、学生のうちからぜひやってみてください。

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