高校留学の基礎知識|留学の種類・申込方法・費用など

Edv Magazine 編集部

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高校留学の基礎知識|留学の種類・申込方法・費用など

海外留学は、大学生や社会人のみならず高校生でも挑戦できることを知っていましたか。2017年度には日本の高校生4.7万人が海外留学をしており、政府は2022年度には6万人まで増やそうと高校留学に力を入れています(※)。

今回は、高校留学の種類・申込方法・費用・メリット/デメリット・人気国など幅広く紹介します。

※参考:高校生の留学生交流・国際交流等に関する調査研究等|文部科学省

高校留学の種類

まずは、留学の種類について解説していきます。高校留学には大きく分けて次の3種類があります。

短期留学・サマースクール

短期留学やサマースクールは、夏休みや春休みなどの長期休暇を利用した短期間留学のことです。語学力を身に付ける、現地の文化を学ぶ、留学先の同年代と交流する、自然・文化・観光産業を学ぶなどさまざまな目的に応じて、プログラムを選べるのが特徴です。

期間は、1週間~1ヶ月と幅があります。自由度が高い留学のため、自分のやりたいことや実現したい目標を明確にした上で計画を練っていくのがよいでしょう。

交換留学

交換留学とは、日本と留学先の国との間で留学生を交換し合い、異文化交流を育むことを目的としている留学スタイルです。日本の高校と海外の高校、もしくは日本と留学先の国とが提携を結んでいるため、サポートも手厚くなっています。

基本的に期間は1年間と定められています。提携先の国・学校から選ぶため留学先の選択自由度は高くありませんが、留学費用の一部を学校や国が負担してくれるというのが大きなメリットです。

なかには留学先で取得した単位がそのまま日本の高校での単位として利用できるものもありますので、プログラムによっては高校の卒業年度に影響を与えることなく留学することも可能です。

正規留学

正規留学とは、海外の高校で卒業を目指す留学のことです。日本の高校から海外の高校へ編入する、もしくは中学を卒業してそのまま海外の高校へ進学するという2つのパターンがあります。現地の学生と同様のレベルで一般科目を学べるような、高い語学力とコミュニケーション能力が必要です。

留学期間は、留学してから留学先の高校を卒業するまでです。卒業資格が取れたら、晴れて留学終了となり帰国して進学や就職を目指すか、そのまま現地の大学に進学するかを選択することになります。

高校留学までのステップ

次に、実際に高校留学をするまでのステップについて解説していきます。

留学の種類(国、プログラム等)を決める

まずは、留学の種類を決定します。自分の目標や実現したいこと留学にかけられる期間や費用を軸に、留学先の国・学校、プログラムを選択していきましょう。

留学に関する情報を調べるポイントは、信用度の高い公式情報を優先的に参考にすることです。学校が公式サイトやパンフレットを通じて発信している情報や、大使館などの公的機関、ノウハウを持っている留学エージェントなどの情報を仕入れることが大切です。インターネット上の口コミやSNSを経由して情報収集するのもよいですが、あくまでも参考程度に捉えます。

書類の準備・申込を行う

留学したい国や学校が決まったら、必要書類を調べて申し込みを行います。留学の種類や受け入れ先の学校によっては、成績証明書、学校からの推薦状、単位取得証明書などが必要になるケースもありますので、高校の先生に早めに相談しておきましょう。

その他、入学願書や個人調査票、在籍証明書など、必要書類は多岐に渡ります。書類不備があると留学の申し込みが受理されないため、自分だけで行わず、保護者や先生に協力を仰いで必ず複数人でチェックするようにします。

留学費用を納入する

留学費用の納入タイミングは受け入れ先の学校によってさまざまですが、留学の申し込みが受理されてから実際にビザを申請するまでの間に設定されていることが大半です。留学期間が長くなればなるほどまとまった金額が必要となりますので、留学費用を捻出してくれる保護者にも事前に相談をしておきましょう。

納入期限に間に合わない場合、留学に行けなくなってしまうこともあるので十分注意が必要です。

渡航手続きをする

パスポートやビザの申請、留学保険への加入、航空券や宿泊先の手配を進めます。場合によっては渡航前に留学オリエンテーションがあったり、英語力の確認があったりする学校もありますのでチェックしておきましょう。

渡航日が近づいてきたら、荷物のパッキング、現地連絡先の整理など細かに確認をしていきます。

高校留学にかかる費用

高校留学にかかる費用は、留学の種類や国によって幅があります。ここでは、出発前にかかるものと留学中にかかるものとに項目を分けた上で解説していきます。

【出発前】往復渡航費

日本から留学先の国に行くまでの費用です。

【出発前】海外留学保険料・健康診断料

留学の申し込み前後に必要になる費用です。

海外留学保険は、留学先でトラブルが発生した際に役立ちます。病気や怪我をしたときの治療費、スマートフォンやカメラなどの高級品を紛失・破損してしまったときの補償費、人の持ち物を破損してしまったり怪我をさせてしまったときの賠償費、万が一のトラブルで留学先から帰国できなくなってしまったときの延長滞在費など、さまざまなケースに適用できますので必ず加入しておきましょう。

健康診断は、留学先の国や学校に健康診断書を提出するために必要です。これまでに罹った病気や持病の有無を確認するほか、予防接種歴も示す場合があります。もし留学先から指摘されている予防接種を行っていなかった場合は、期限までに接種します。

【出発前】パスポートやビザなど諸手続き費用

渡航に必要なパスポートやビザを取得するための費用です。12歳以上の人が申請する場合、5年間有効なパスポートを取得するのに11,000円必要です(有効期間が10年のパスポートもありますが、こちらは20歳以上対象となっています)。ビザの費用は国や取得ビザの内容によって異なりますが、15,000円~40,000円程度みておきましょう。

【留学中】学費

現地の学校に支払う学費です。教科書、タブレット、制服などが必要になるケースもあります。留学先や留学期間によって金額の幅があるため、事前によく調べておきましょう。

アジア圏2週間程度の短期留学であれば20万~40万円ヨーロッパ圏に1年間自費で行く留学であれば200~300万円程度と、かなり幅があります。

【留学中】居住費・生活費・交通費

現地で生活するための費用です。宿泊するホームステイ先、学生寮、ホテルなどに支払う費用や、食費、通信費、光熱費、電車やバスに乗るための交通費などさまざまです。

現地の物価を調べた上で余裕を持って準備しておきましょう。また、一度に大量の現金を持ち込むと紛失や盗難のリスクも発生します。現地のATMを利用して下ろせるようにしたり、クレジットカードや電子マネーを利用したりするなどの対策も必要です。

留学をするメリット

留学をするメリットはたくさんありますが、ここでは3つピックアップしてみました。

語学力が身に付く

留学の大きなメリットとして、まず語学力が身に付くことが挙げられます。現地の学生と交流したり、外国語で授業を受けたりすることで、日本国内で勉強する以上のスピードと質で語学スキルを向上させられるでしょう。また、レストランで食事したり公共交通機関を利用したりするなかで、日常生活に必要な会話もできるようになっていきます。

グローバル化が進む社会において、語学力を身に付けていればその後の選択肢もおのずと広がっていくでしょう。

自分で決断し行動する力が身に付く

留学をするためには、自分で決断し、行動する力が欠かせません。留学先の国や学校を調べ、必要書類を用意し、実際に渡航するというだけでも相当の行動力が必要ですし、故郷を離れ異文化のなかで生活することで「自発的に考え、行動する力」が培われます

決断力・行動力は日本国内のAO入試で特に重視される項目である他、大学での研究や就職して働く上でも欠かせない力です。

進路の選択肢が広がる

留学により、自分が思い描く進路の選択肢も広がっていきます。総合型選抜や学校推薦型選抜を利用して大学受験をする、外国人留学生の多いグローバル系大学に進学する、海外の大学へ進学する、はたまた海外の企業にインターンシップするなど、留学によって今まで持ち得なかった視野を持つことができるでしょう。

留学をするデメリット

反対に、留学をするデメリットについてもよく検討しておきましょう。メリットと同様に3つピックアップしてみました。

費用がかかる

留学をするためにはある程度まとまった金額を準備する必要が出てきます。期間が長くなればなるほど、遠方であればあるほど費用も高くなるので、事前に予算を見積もり検討しておくことは大切です。

費用負担を減らして留学をしたい場合は、短期間で行われるサマースクールや、国・学校が一部費用を負担してくれる交換留学を検討するのもおすすめです。

進学や大学受験への考慮が必要

留学期間によっては、進学や大学受験に影響する可能性があります。留学先で得た単位を日本の単位として活用できる場合もありますが、日本での学習と海外の学習が必ずしも同じ時期に同じ範囲をやるとは限りません。

帰国後に必要単位を取りなおしたり、大学受験の範囲を補足的に勉強したりするなど、対策が必要となる可能性についても考えておきましょう。

トラブルやホームシックへの対応が必要

病気・怪我・事故などの思わぬトラブルに遭遇した場合、基本的に解決方法を自分で考え行動する必要があります。

また、現地に馴染めなかったり、うまくコミュニケーションができず孤独感につつまれたり、日本にいる家族や友人が恋しくなる(=ホームシック)可能性もあるでしょう。

よほどのことがない限り、一度スタートした留学は途中で終了することはできません。トラブルが起きてから、またホームシックになってから現地で対策を考えるより、あらかじめそういう問題が起きるということを前提に準備を進めて、覚悟を決めた上で留学を申し込みましょう。

主な留学先となる国

高校留学として特に人気のある国について紹介していきます。

アメリカ

アート、ファッション、グルメ、スポーツなどさまざまな文化が集まるニューヨークや、大学・美術館・図書館など文化的施設がひしめき合うボストンなどが特に人気です。

日本のみならず世界各国から留学生が集まる国でもあるので、文化交流の面から見ても人気の高い理由が見て取れます。

参考:アメリカ留学とは?特徴・費用・節約方法などを解説

カナダ

治安がよく豊かな自然を楽しめるバンクーバーや、演劇や美術で有名なトロントなどが人気です。

多文化共生が発展しているカナダではフランス語を母国語とする学生も多く、英語以外での学びの場が充実しているのも特徴です。

参考:カナダ留学のメリットは?特徴や費用、おすすめエリア&大学を紹介

オーストラリア

自然と高層ビル群をあわせ持つシドニーや、ビクトリア王朝の歴史的建造物が有名なメルボルンなどが人気です。

少し足を伸ばせば南国リゾートやコアラ保護区を訪ねることもでき、留学先のプログラムによっては現地学生と一緒に観光することも可能です。ただし、英語にはオーストラリア独特の訛りがあるので、語学留学を目的とする場合は注意しておきましょう。

参考:オーストラリア留学のポイントを解説!費用・節約方法・人気エリアなども紹介

ニュージーランド

移民を多く受け入れてきた歴史があり、多国籍な海の街として知られるオークランドが有名です。留学生担当のカウンセラーが常駐している学校が多く、どの学校でも一定の教育レベルが保たれるよう国が管理しているのが特徴です。

少人数制授業が行われることが多いため、より密に学びたいという人には最適な国でしょう。

イギリス

歴史・音楽・教育の揃った大都市であるロンドンへの留学が特に人気です。ブリティッシュイングリッシュと呼ばれる英語を学べるほか、思考力や表現力を重視したレベルの高い教育が受けられるのがメリットです。

寮生活が浸透しているため、留学生も寮で暮らす学校が多いのも特徴です。

参考:イギリス留学の費用・奨学金・おすすめ大学を解説

その他

他にも、産業・IT共に急成長している中国や、高校生の熾烈な受験競争が有名な韓国、学校と企業で連携していることが多くインターンシップが盛んなフランスなど、留学先は多数あります。国ごとの特性を知り、特徴を掴んだ上で留学先を決めていきましょう。

まとめ

一言で「高校留学」といっても、留学の種類や行き先によって学べる内容は大きく異なります。留学によって何を学びたいか、どんな力を身に付けたいかをよく考えた上で、自分に合った留学スタイルを決めていきましょう。

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