インド洋と太平洋に囲まれた南半球の大陸オーストラリア。自然と都市の調和がとれた国で、観光だけでなく留学先としても世界中から人気を集めています。
今回は、オーストラリア留学の特徴やメリット・デメリット、費用、節約方法、おすすめのエリアなどを紹介します。
オーストラリア留学の特徴
オーストラリア留学の特徴は、主に次の5つです。
留学の選択肢が豊富
日本の20倍、世界第6位の面積を誇るオーストラリアはメルボルンやシドニーといった主要都市だけでなく、パースやゴールドコーストなど各地域の大学で留学生を受け入れています。オーストラリアは厳格な教育制度が敷かれているため国内の大学数はわずか41校ほどですが、そのぶん少数精鋭で世界大学ランク上位に入る大学も多く、専門科目は多岐に渡っています。
多種多様な文化に触れられる
先住民のアボリジニ文化をはじめ、イギリスの植民地化、移民政策などオーストラリアは歴史的に多国籍人種が集まる国です。現在も200以上の国にルーツをもつ人々が住んでいます。留学先の学校や生活圏内でも多種多様な文化や価値観に触れられるでしょう。
最長2年間のワーキングホリデー制度がある
オーストラリアは留学中に働けるワーキングホリデー制度があります。ワーキングホリデー(ワーホリ)とは、日本との協定国において地域文化やライフスタイルを理解するため長期滞在できる制度です。通常の学生ビザでは週20時間しか働けませんが、ワーホリであればフルタイムで就労できます。期限は1年間ですが、申請手続きをすれば2年間まで延長可能です。
オーストラリア留学のメリット
オーストラリアへの留学を検討するうえで知っておきたいメリットを紹介します。
教育レベルが高い
オーストラリアにはわずか41の大学しかありませんが、世界大学ランキング2020のトップ100にメルボルン大学(32位)をはじめ6校もランクインしています。これはオーストラリア政府が大学に対して一定の教育レベルを保てるよう教育制度を整備しているからです。また世界各国から優秀な教授や講師を招聘しているため、後を追うように世界中から留学生が集まってきます。
穏やかな気候で過ごしやすい
赤道を挟んで日本の対局に位置するオーストラリアは、冬はあたたかく夏は寒いです。冬は日中35度を超す日もありますが、日本と異なりジメジメ感がなく、気温の下がる夜は快適に過ごせます。オーストラリア大陸の各地域で熱帯性気候・砂漠性気候・亜熱帯性気候・温帯性気候と4つに別れているので、より過ごしやすい気候から留学エリアを決めるのもいいかもしれません。
留学生を守る教育サービスがある
オーストラリアは留学生の権利を保護するサービス『ESOS(留学生のための教育サービス)』を定めています。
- コース、料金、勉強の形式などに関する現在の正確な情報を教育機関やその代理業者から入学前に受け取る権利。本人が18歳未満である場合は、安全を確保するために宿泊施設、サポート、福利厚生に関する準備ができている場合に限りビザが発給されます。
- 提供される予定のサービス、(学費と学費以外の)支払うべき料金、および学費の払戻しについての情報を規定した契約書に、費用を支払う前または支払い時に署名を行う権利。
(引用:留学生のための教育サービス(ESOS)|オーストラリア政府)
ESOSによって悪意のある教育機関から留学生が不当な費用負担を求められたり、その他トラブルが起きたりすることを未然に防ぎ、もし起きたとしてもしっかり守ってくれます。
オーストラリア留学のデメリット
オーストラリアへの留学を検討するうえで知っておきたいデメリットを紹介します。
物価が高い
2018年のIMFの統計によると、オーストラリアは一人あたり名目GDPが56,420米ドルで、日本の約1.4倍あります。平均年収は、日本は約440万円ですが、オーストラリアは82,436豪ドル(約600万円)。そのため相対的に物価も高くなります。『地球の歩き方』によるとファストフードの代金は日本よりも3~5割ほど高いそうです。
日本人が多い
オーストラリアはアメリカに次いで2番目に人気のある留学先です。毎年約10,000人の日本人学生が留学しています。また移住先としても人気なため、都市部にも日本人が多数住んでいます。そのため、留学先や就労先で日本人と遭遇する確率が高いです。英語漬けの生活を送りたい人は周囲の環境に日本人がどのくらいいるかあらかじめ調べておくことをおすすめします。
成績が振るわないと学生ビザが失効となる
メリットでESOSによって留学生の権利が守られていると書きましたが、同時に留学生に対しても「責任」が課せられています。オーストラリア政府のESOSのページには、「学生ビザを持つ留学生として、皆さんには次の責任があります」として「コースで十分な成績と良好な出席率を保つこと」「コースで出席率が記録されている場合は、教育機関の出席に関する方針に従うこと」と記載されています。これらを守らない場合、学生ビザが失効となる可能性があるので注意しましょう。
オーストラリア留学に必要な費用
留学には一定の支出がともないます。ここではオーストラリア留学にかかる費用について出発前と留学中に分けて解説します。
【出発前】往復渡航費
日本とオーストラリアの往復にかかる費用です。オフシーズン(6月頃)にLCC等の格安航空会社を選択した場合で片道約6万円程度。12月〜1月のトップシーズンの場合、LCCで片道8万円程度かかります。少しでも節約したい人は渡航時期の相場を調べておきましょう。
【出発前】パスポートやビザなど諸手続き費用
渡航に必要なパスポートやビザを取得するための費用です。12歳以上の人が5年間有効なパスポートを取得する場合は11,000円、20歳以上の人が10年間有効なパスポートを取得する場合は16,000円必要です。
オーストラリア留学では、滞在3ヶ月未満なら観光ビザ、3ヶ月以上なら学生ビザ、ワーホリならワーキングホリデービザが必要となります。それぞれの発行手数料は、観光ビザは20ドル、学生ビザは620ドル、ワーキングホリデービザは485ドルです。
【出発前】海外留学保険料・健康診断料
病気やケガ、災害に遭うなどといった不測の事態に備えて入っておきたいのが海外留学保険です。
オーストラリアでは学生ビザで留学する場合、オーストラリアの大手保険会社・アリアンツが取り扱う「OSHC(海外留学生健康保険)」への加入が必須です。OSHCに加入することで、留学中の経済的負担を軽減できます。語学学校の学費と一緒にOSHCを支払うケースもあるので、学費を振り込むときに内訳をチェックしましょう。
また、留学先の学校によっては健康診断の結果が必要になります。オーストラリア大使館指定の病院で受診し、結果が出るまでに一定日数かかるので、期間に余裕を持って早めに受診しましょう。
【留学中】学費
現地の学校に支払う学費です。教科書やタブレットなど教材にかかる費用のほか、ゼミや実地研修に参加する際にかかる費用などさまざまです。現地の学校への入学金や、日本の大学の休学費が必要になるケースもあります。
オーストラリアの場合、どれくらいの期間留学するかに加え、通う学校のタイプによって費用が大幅に変わります。語学学校に1ヶ月留学する場合の授業料は8~20万円程度かかります。大学留学の場合、年間授業料は10〜300万円です。
【留学中】居住費・滞在費
留学中は学校の寮、ホームステイ、もしくはシェアハウスでの滞在が一般的です。寮は1ヶ月8万〜12万円、ホームステイの場合は1ヶ月8万〜10万円、シェアハウスの場合は1ヶ月6万〜8万円程度の予算を組んでおきましょう。
【留学中】交通費
各都市によって交通機関の発達度合いや料金にギャップがあります。交通費は決して安くなく、電車やバスでの通学となると月に約1万円程度かかるので、できるだけ学校の徒歩圏内・自転車圏内に住むことをおすすめします。
またオーストラリアには交通系ICカードがあります。シドニーの「Opal Card」、クイーンズランド州東南部で、オフピーク割引などお得なサービスも付いた「goカード」などです。
【留学中】生活費
ふつうのレストランでランチしても1食1,000円超えがザラなオーストラリアでは、日本よりも食費がかかると心しておきましょう。滞在エリアによっても変わりますが、日用品なども含めた生活費は1ヶ月5万〜10万円程度かかると考えておくとよいです。
【留学中】通信費・雑費
日本同様にインターネット環境が整っており、公衆無線LANやWi-Fiも発達しています。しかし、好きなときにインターネットや電話をしたい人はWi-Fiレンタルや現地の携帯電話会社と契約することをおすすめします。
日本で海外持ち出し可能なモバイルWi-Fiをレンタルした場合は月約2万円程度、オーストラリアで大手キャリアの携帯を契約した場合は月40ドル(3,000円)程度、格安SIMの場合は月15ドル(1,000円)程度です。
オーストラリア留学で節約するためのポイント
オーストラリア留学において節約するポイントについて解説します。
オフシーズンに渡航する
オフシーズンは渡航者が少ないため、航空券の価格帯が安くなります。オーストラリアのオフシーズンは、もっとも寒い時期である6月です。
物価が安めのエリアを選ぶ
シドニーやメルボルンなどの主要都市に比べ、地方都市は比較的物価が安い傾向にあります。たとえば、西オーストラリア州の州都であるパース、クイーンズランド州のヌーサ、タウンズビルなどです。
シェアハウスを選ぶ
オーストラリア留学中の住まいとしてシェアハウスを選ぶ場合、寮やホームステイよりもコストを比較的抑えられます。最初の数ヶ月はホームステイで、その後はシェアハウスにする留学生も多いです。短期間の契約が可能なシェアハウスも多々あります。
ワーキングホリデービザを取得する
ワーキングホリデービザを取得すると、フルタイムでの就業が可能になり、生活費を現地で稼ぐことができます。アルバイト先の飲食店によっては賄いがつき、食費を抑えられます。オーストラリアは物価が高いぶん最低賃金が高く19.49ドル(約1,400円)です。
主な留学エリアと大学
オーストラリア留学で特に人気のある地域や学校について紹介します。
シドニー
2000年にオリンピックの舞台となったシドニーは、オーストラリア最大の都市です。大陸の南東部に位置する経済・文化の中心地であり、約410万人が暮らしています。
シドニー大学
オーストラリア最古の名門大学です。歴代首相、ノーベル賞受賞者、宇宙飛行士、著名文化人らを多数輩出し、世界大学ランキング2020で60位にランクインしています。
公式サイト:http://www.usyd.edu.au/
メルボルン
シドニーに次ぐ大都市。都会的な雰囲気はありつつ、歴史的な建物や文化が残っています。シドニーと比較して家賃が低く、留学生数は世界的に見てロンドン、ニューヨーク、パリに次いで4番目に多い都市です。
メルボルン大学
世界大学ランキング2020で32位にランクインし、オーストラリアで最も優秀な大学とされています。歴史もシドニー大学に次いで古く、17名ものノーベル賞受賞者を輩出。現在も数名の受賞者が教授として籍をおいています。
公式サイト:https://www.unimelb.edu.au/
パース
西オーストラリア州最大の都市。街なかはバーやレストランで賑わい、郊外に行くとインド洋に面した美しいビーチが広がります。オーストラリアで「最も晴天の多い街」ともいわれ、過ごしやすい気候です。
西オーストラリア大学
1911年に設立された西オーストラリアでもっとも古い大学です。一流の研究機関をもつ大学として有名で、オーストラリアの大学のなかで研究者一人当たりの研究資金が一番高いといわれています。また石灰岩から彫られた美しい建築を目当てに多くの観光客が訪れます。
公式サイト:https://www.uwa.edu.au/
おすすめのオーストラリア情報サイト
オーストラリア留学に役立つ留学関連サイトをまとめました。参考にしてみてください。
まとめ
広大な面積を誇る多文化主義国家オーストラリアは、エリアや学校によって多様な教育を受けられ、さまざまな文化・価値観に触れることができます。他の国と比べて、働きながら滞在する=ワーキングホリデーが人気な国なので、ぜひ選択肢として考えてみてください。