医学部とは?資格や将来の仕事、大学選びのポイント

Edv Magazine 編集部

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医学部とは?資格や将来の仕事、大学選びのポイント

医学部と聞くと、「難関試験を突破して、将来は病院で働く」イメージを持っている人が多いのではないでしょうか?実は、医学部卒の人はさまざまな職業に就いています。

今回は、医学部で学べることや将来の多様な仕事、大学の選び方について紹介します。

医学部で学ぶこと

医学部とは、医学に関する研究・教育を通して医療現場で貢献できる人材を育成するための学部です。医学部に進学すると、大きく分けて基礎医学・臨床医学・社会医学の3つを学びます。

基礎医学

基礎医学とは、人間の体の仕組み病気発症の因果関係を学ぶ学問です。学問的には、解剖学・生理学・薬理学・病理学・細菌学・免疫学などに分かれています。

たとえば解剖学では、人間の体がどのような器官を持ちどのような構造で配置されているかを学びます。生理学は、生体機能の仕組みを研究する学問で、人間の体を構成する各要素(組織・器官・細胞など)がどのような役割を担い、身体へどう影響を及ぼすのかを学びます。

臨床医学

臨床医学とは、患者に接して診断・治療を行う領域を学ぶ学問のことです。学問的にいうと、内科学・外科学・産婦人科学・精神医学・皮膚科学・放射線医学など多岐に渡ります。

どの大学の医学部でも5・6年になると、実際に患者と対面して診療や治療を行ったり、カルテを書いたりする臨床実習があります。

社会医学

社会医学とは、集団や社会として健康を守っていくことについて研究する学問です。学問的には、公衆衛生学・法医学・医療情報経済学などに分かれています。

社会全体の健康増進や予防の推進、医学・医療研究の社会的還元の促進などに関わる研究や教育に触れます。

医学部で取得できる人気の資格

医学部では、大学・学科によってはさまざまな国家試験の受験資格を取得できます。医師免許を含め、以下4つの資格が人気です。

医師免許

医学科に進むと、人間の正常な身体の仕組みや構造を学ぶ基礎医学や、ある病気について具体的な病態・疾患、治療法などを学ぶ臨床医学を履修しながら医師国家試験の合格を目指します。

大学ごとの卒業試験に合格した後、医師免許国家試験を受験・合格することで医師免許を取得できます。

看護師免許

看護学科に進むと看護学のほか、解剖生理学・薬学・病理学などの医療分野や、化学・生物学・心理学などを学びながら看護師国家試験を目指します。

医師免許同様に、看護系の専門学校や大学などで学習して、国家試験受験資格を取得し、看護師国家試験に合格する必要があります。

保健師免許

保健師とは、乳児から高齢者まで地域の人々の心身の健康をケアする仕事です。

看護師と保健師の国家試験に両方とも合格する必要があり、厚生労働大臣の免許を受けると保健師になることができます。保健師のほとんどは、保健所や保健センターなどの行政機関で勤務します。

多くの大学で、看護師・保健師統合プログラムが採用されており、卒業すると看護師と保健師両方の国家試験受験資格を取得できます。

助産師免許

助産師とは、妊産婦に保健指導や育児相談、分娩の介助などを行う仕事です。

産科のある病院で働くほか、市区町村などの母親学級で講師を務めたり相談窓口を行ったりすることになります。核家族化により、妊婦が妊娠・出産に関するアドバイスを受ける機会が激減しているため、今後も活躍が期待されています。

助産師として働くためには看護師資格と助産師資格の両方が必要で、各学校の助産師養成過程に進み、卒業見込みの最終年に2つの国家試験を受験し合格する必要があります。

医学部の学費

大学の学部の中でも、医学部の学費は高額となります。国公立だと、6年間の学費は約350万円程度、私立の場合は2,000〜3,000万円、高いところだと4,000万円を超える場合もあります。

私立の志望校を設定するときは、早いうちに家族と学費の上限を相談して決定しておくことをおすすめします。

参考:【2021】医学部ランキング|偏差値・受験倍率・国家試験合格率・学費・男女比別

医学部に向いている人

医学部に向いている人の特徴を3つ紹介します。

一生勉強し続けられる、向上心がある人

医師は、なるまではもちろん医師になってからも勉強を続けなければなりません。なぜなら日々、新薬や新しい治療・手術方法などの先進医療技術が発表されるからです。仕事をしながら学会に参加し、研究成果の発表や情報収集に努めるなど、新しい知識を探求し続けることが大切です。

明るく、体力がある人

夜勤や緊急の手術はもちろん、手術を行わない内科などの医師でも、患者の容態によっては付き添うことがあるため、ある程度の体力はつけておく必要があります。また、患者は病気や怪我のため少なからず不安・憂鬱な気持ちを抱いているので、明るく前向きに診察できるほうが医師として向いているでしょう。

他者を思いやれる誠実な人

医師は高い臨床能力だけでなく、患者やその家族に寄り添うコミュニケーション能力はもちろん、チーム医療を実践するうえでの統率力臨機応変に対応できる能力が必要です。

特に患者に対しては、不安な気持ちを解消するために話を聞いたり、ときには力強く励ましたりするなど患者と同じ目線で向き合う誠実さが求められるでしょう。

医師が一方的に診察や治療を勧めるのではなく、一人ひとりの患者の心に寄り添うことがますます重要になっています。

医学部卒業後の進路

医学部を卒業した人たちの職業は基本的には医師ですが、その種類もさまざまです。少数ですが、なかには医師以外の仕事に就く人もいます。

臨床医

医学部卒業生の進路で最も多いのが臨床医です

医師資格取得後の2年間は、大学附属病院などで臨床研修医として勤務しなければいけません。いわゆる見習い期間で、この期間に自分が進みたい診療科(内科・外科・小児科など)を正式に決定します。

研究医

医学部卒業後に大学院の博士課程に進み、さらに高度な医療者研究者を目指す学生も増えています

先進医療技術は日々進展していますが、新型の感染症や難病の原因や治療法など未知の領域はまだまだ多いです。これらを究明するために研究者として、官民の研究所や開発機関で基礎研究や応用研究などに取り組むのも人気の進路です。

博士課程は4年間ですが、臨床研修2年間を挟んでから博士課程に入るケースが多く、結果的に大学入学から博士課程を修了するまで、10年はかかることになります。

公務員(国家公務員、公衆衛生医師、監察医など)

医療の知識を生かして、公務員になる人もいます。

国家公務員だと、国の医療制度や公衆衛生などの分野で医師としての専門知識を活かして働く「医系技官」自衛隊の病院や部隊の医務室などで医療活動を行う「防衛医官」などが人気です。

地方公務員だと、住民の保健・医療・衛生・福祉に関する仕事に携わる「公衆衛生医師」不審死をの原因を調査する「監察医」などが人気です。

一般企業(産業医、医療経営コンサルタントなど)

医師免許を取得して一般企業に就職する人もいます。

たとえば、企業などの事業所で労働者の健康管理を行う「産業医」があります。研修や講座を受講し、産業医資格を得ると産業医として働くことができます。不規則な時間帯で働くことが少ない点で目指す人も多いです。

ほかにも、とくに転職先としてコンサルタントが人気です。一般的に、コンサルタントが所属するコンサルティングファームには、戦略系・総合系・シンクタンク系・医療系などの種類があります。なかでも戦略系と医療系のコンサルタントが人気で、一部の外資戦略コンサルティングファームでは医学部や医師の採用枠があるといわれています。

国際医療協力

国際協力分野だと、国境なき医師団などの臨床医だけではなく、医療保健分野で働く医師もいます。たとえば、WHOなどの国際機関国際協力機構のJICAで働くほか、現地で実際に専門的な調査や作業を実施する開発コンサルタント、国際協力NGOの医師として働く人もいます。なかでも、国際機関やJICAの専門家は人気が高く就職するのは難しいといわれています。

大学の選び方

医学部は、国公立大50・私立大31・防衛医科大1の合計82校あります。

医学部を目指す人のなかには、「医学部ならどこでもよい」と考えてしまう人もいるかと思います。しかし合格するためには、自分が医師としてどういう進路に進みたいかを軸に志望校を決めることをおすすめします。

臨床医・開業医になりたい人

臨床医になりたい人は、働きたいと思う「地域」を軸に選ぶといいでしょう。たとえば地元の九州で将来働きたいのに、わざわざ東京の医学部に進学する必要はありません。可能であれば、働きたい地域で名医として有名な医師の出身校を調べるのもおすすめです。

研究医になりたい人

研究医になりたい人は、研究が盛んな古くからある国立医学部を目指すことをおすすめします。もっというと、文部科学省グローバルCOEの生命科学、医学系に採択されている大学は研究に強いといわれています。

たとえば、東大・東北大・名古屋大・京都大・大阪大・神戸大・熊本大・慶応大は生命科学・医学系の両方で採択されているのでおすすめです。

進路未定の人

どうしても将来の進路を考えられない人は、学力と学費を照らし合わせて志望校を決めましょう。大学ごとに、「2次試験重視型」や「理科重視型」など配点基準や出題範囲が大きく異なります。事前によく分析しておきましょう。

大学を選ぶ際には、海外大学という選択肢もあります。たとえば、チェコやハンガリーなどの東欧の大学の医学部を卒業し、日本の医師国家試験を受けて医師になる方法が近年人気になってきています。

東欧の医学部は、一定以上の英語力が必要ですが、理数系科目は日本の偏差値55程度であれば合格可能だといわれています。学費も日本に比べて安価なうえ、医学教育の水準も日本の医学部と同等かそれ以上だと評判です。

まとめ

今、医療現場は治療法や新薬のほか、AI診療や医療ロボット導入などますます変化に富んでいます。日々新しい知識を習得して技術を学び変えていくことに魅力を感じ、目の前の人の心身に向き合っていきたいと思う人は、ぜひ医学部も検討してみてください。

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