政治家は、国や地方自治体の政策を考案し、実行する職業です。幅広い人からの意見に耳を傾けつつ、世界の政治も参考にしながら自分なりのアイディアを出し続ける必要があり、やりがいの多い仕事だと言えるでしょう。
実は、政治家になるために必須の資格・学歴はなく、立候補して当選すれば誰でも政治家になれます。今回は、政治家になるための道について解説します。
政治家の種類
一口に「政治家」といっても、実はさまざまな種類があります。どんな政治家を目指すかによって歩む道が変わってくるため、まずは政治家の種類をチェックしてみましょう。
国会議員(内閣総理大臣も国会議員のなかから指名される)
国会議員は、国政に携わる政治家です。国全体で施行する法律を決めたり、予算の額や使い道を決定するのが主な仕事であり、複数の政党間で討議しながら最適な道を探ります。
衆議院議員もしくは参議院議員として活動することが特徴で、内閣総理大臣も国会議員のなかから指名されます。
都道府県知事
都道府県知事は、都道府県の運営に携わる政治家です。市民から集めた地方税地方交付税交付機などの使い道を決定するのが主な仕事であり、都道府県としてどんな特色を出すか審議します。
また、県内外のイベントや式典に出席したり、災害時には国や政府と連携しながら対応したり、さまざまな役割が求められます。
都道府県議会議員
都道府県議会議員は、都道府県議会を構成する政治家です。地域ごとに異なる条例の制定・改廃を手掛けることが中心ですが、都道府県知事と協力しながら予算や重要事項の決議をすることもあります。
その都道府県に住んでいる市民たちから公選され、原則として人気は4年と定められています。
市区町村長
市区町村長は、その名の通り市区村長を代表する政治家です。議会と協力しながら予算・条例を定めるほか、市区町村の最高責任者として誰もが住みやすい街づくりを叶えます。
都道府県民税は都道府県知事や都道府県議会議員が使いち道を決めますが、市町村民税は市区町村長が中心となって使い道を探ります。
政治家になるために必要なスキル
政治家になるために、必須とされている資格・学歴・職歴はありません。満25歳以上であれば衆議院議員・都道府県議会議員・市区町村長に立候補できます。
参議院議員と都道府県知事に限り満30歳以上であることに注意が必要ですが、年齢と日本国民であることさえ満たしておけば、どんなバックグラウンドでも立候補できるのです。
ここでは、政治家になるために必要なスキルを探っていきましょう。
自分の意見を広く確実に伝える力
立候補して当選するためには、まず自分の意見を広く確実に伝える力が必要です。自分なりに定めた「マニフェスト(=政治公約)」を知ってもらい、有権者に票を投じてもらうための努力が欠かせません。
また、マニフェストが実現可能性のあるものになるよう、財政的裏付け・数値目標・実施期限などを定めることも肝心です。
この力は、無事に当選して政治家になって以降も必要です。さまざまな意見が対立するなか、自分が持つ理想にいかに賛同してもらうか考え、対策していくのです。
人の意見に耳を傾ける力
政治家は、国民・市民からの意見にしっかり耳を傾け、自分たちにどんな役割が期待されているのか知る必要があります。そのためには、自分の理想だけを追い求めるのではなく、人の意見を取り入れながら全体の最適化を図ることが欠かせません。
また、国民・市民だけでなく先輩政治家・企業・同僚となる政治家からの意見もしっかり聞き、独りよがりではない政治をすることが求められます。
いわゆる「独裁者」になろうとすると、人からの支持は集められないことに注意しておきましょう。
世界情勢や最新情報をチェックし続ける力
政治家は、常に世界情勢や最新情報をチェックし続ける力も必要です。一度勉強したことであっても、時代に応じて状況は刻一刻と変化し続けます。
昔の政治が今の時代に合わないことと同じように、現時点で最高だと思われる政治も5年10年後にはズレが生じているかもしれません。
そのため、最新情報をチェックし、今目指すべき方向性と合っているか、都度確認していく必要があるのです。
また、世界には自国の特徴や世界的なニーズに合わせて上手に政策決めをしている国が多いものです。よき部分はどんどん学んでいくスタンスで、世界にも目を向けながら情報収集していきましょう。
政治・経済・文化・国際交流への深い知識力
政治家は、政治・経済・文化・国際交流への深い知識が必要です。最低限今制定されている法律や制度を知らなければ、新しいルールづくりはできません。
同様に、経済がどう動いているか知らなければ、新たな経済的仕組みづくりはできないでしょう。これはどの分野にも同じことが言え、文化・国際交流・環境問題・人権問題・紛争解決などありとあらゆる面で役立ちます。
学ぶことが多いため専門分野に特化して知識を仕入れることもよいですが、常に広い視野は持てるよう、スタンスを築いていきましょう。
忙しい時期を乗り切る体力
政治家になり、その後も多くの人から支持を集め続けるためには、忙しさを乗り切る体力が必要です。選挙期間は駅・商業施設・オフィス街などを渡り歩き、自分の考えや理想を広く知ってもらうための取り組みが要るでしょう。
賛同者を集めて政治家になったあとも、さまざまな人の意見を聞くために足を運び、ときには対立する人たちとの意見交換会や説得も必要です。
また、自分自身の知識をアップデートするためにも日夜勉強し、歴史にも最新情報にも明るい人材にならなければいけません。
やりたいことがたくさんあるため、それなりの体力が求められるでしょう。体調不良・怪我・病気に気をつける自己メンテナンスをしながら、常に行動あるのみを意識します。
政治家になるための進路
最後に、政治家になるための進路を紹介します。政治家になるためには「日本国民であること」「満25歳以上(場合によっては30歳以上)」のみが要件として定められているのみで、学歴・職歴は関係ありません。
しかし、前述した政治家として必要なスキルを身につけるためにも、下記のような進路を参考にすることをおすすめします。
4年生大学へ進学して学ぶ
立候補前に、4年生大学に進学して学ぶことをおすすめします。大学では、中学・高校では学ばない観点から専門分野を細分化し、より細かく知識を習得できます。
ときにはフィールドワーク・調査・留学・見学など足を使った学びもあり、現場目線で考える癖を身につけられるでしょう。
また、大学にはさまざまな地域・年齢・思考の人が集まるため、意見交換にも最適です。
学びながらコミュニケーションができる場として、大学を多いに活用していきましょう。
留学しながら学ぶ
留学し、今までにない広い視野を身につけることもおすすめです。教科書やインターネット上だけで学ぶより生の情報を仕入れやすく、実際に目で見ないと分からない事柄も学びやすくなるでしょう。
日本だけでなく世界の多様性に触れ、今後の日本が歩むべき道に思いを馳せることも効果的です。また、世界的に評価されている政治の取り組みを調べるなど、実地的な学びをすることも近道です。
政治家養成塾で学ぶ
政治家養成塾は「政治塾」とも呼ばれ、政治家の養成を目的とする私塾です。未来のリーダーを育成するためのカリキュラムが整っており、政治・経済・国際交流などに関する知識を仕入れられるほか、政治家同士のコミュニティ構築にも役立ちます。
選挙を乗り切るためのノウハウやポイントなど、大学や専門学校では教えてくれないことも指導してくれることが特徴です。
代議士秘書などをしながら学ぶ
代議士など政治家の秘書をしながら日本・世界各地を渡り歩き、現場の肌感覚を身につける手法です。
政治家養成塾で活躍している人材が採用されることもあれば、ごく少数ながら公募でメンバーを集めることもありますので、調べてみるとよいでしょう。
政治家同様、特定の学歴・職歴・経歴・資格が重宝されることはほとんどなく、「国(都道府県)を変えたい!」という高い理想を持った若手の方が重宝されます。
高い理想を抱き、挑戦できる場を求めている人は、ぜひ門を叩いてみてはいかがでしょうか。
まとめ
政治家は、世のため人のために行動する人です。国民・市民を代表するリーダーとしての資質が求められることに加え、誰にとっても最適な生活を叶えるため、行動していく必要があるでしょう。
政治家になりたい人は、まず日本国内だけでなく世界にも目を向けながら、幅広い知識を得ることが大切です。そのうえで、色々な立場の人と意見交換したりプレゼンテーションをして自分の意見を伝えたりする練習を重ねていくのがよいでしょう。目指すべき姿を見据え、今の自分の必要なことをしていくことがポイントです。