具体的な夢や目標がなく、自分の将来を思い描けずに、周囲から取り残されたかのような不安や焦りを感じていませんか。さまざまな人の書いた進路に関する本を読み、自分の世界を広げてみることで、そんな悩みの解決に繋がります。
今回の記事では、将来への不安や悩みを抱える高校生が進路に関する本を読むメリットと、さまざまな人の人生に良い影響を与え続けるおすすめ本を10冊紹介します。人生観を広げてくれたり、進路を考えるヒントになるので、ぜひ読んでみてください。
将来や進路に悩む高校生が本を読むメリット
将来について、何をどう決めたら良いのかわからないときには、生き方や進路、人生に関連した本を読みながら、考えを巡らせてみるのがおすすめです。半信半疑で本を読み進めてみると、以下のようなメリットによって悩みが解消しやすくなります。
自分の世界が広がる
進路に悩んだときに本を読む最大のメリットは、自分の視野が一気に広がることで、柔軟な選択や新たなチャレンジができるようになることです。
例えば、高校生の両親が公務員だった場合、それ以外の仕事をしている大人とあまり接したことがないわけですから、自分の進路を考えるときにも狭い視野の中で物事を考えてしまう傾向があります。
そんな高校生が冒険家や経営者が書いた本を読むと、自分の知らない世界に触れられるので、世の中には公務員やサラリーマン以外にもさまざまな生き方があることがわかるのです。
そして、良い意味で好奇心や探究心が刺激されると、進路指導室にある求人票や仕事関連の本なども、積極的に目を通せるようになるでしょう。
悩みを解決するヒントがある
本は、自分の抱えた悩みを解決するヒントやアドバイスを与えてくれることがあります。
例えば、経済的な問題で大学に行けず、働きながら努力をして社長になった著者の話を読んだ場合、「お金がなくても夢は叶えられる」や「大学に行かなくても社長になれる」といったヒントによって背中を後押しされることもあります。
また、本で知った偉人や著名人の言葉を自分の座右の銘にすると、人生の壁にぶつかったときの気分転換にも役立つでしょう。
本に書かれているヒントや知識は、全ての人に当てはまるものではありません。しかし、さまざまな本を読み進めていくことで、自分の悩みや疑問を解決してくれる著者や主人公と出会える確率も徐々に高まっていきます。
悩んでいるのは自分だけではないと思える
小説やビジネス書に出てくる人は、必ずといっていいほど何らかの悩みを抱えています。
読書を通して著者や主人公たちに寄り添い、「悩みを抱えているのは自分だけではない」と思えることによって、少しずつ孤独な気持ちから開放されていきます。
そして、本によって孤独や意固地な気持ちが溶け始めると、今まで進路や人生についてじっくり話し合うことのできなかった両親や先生たちとの関係も、少しずつ改善していくでしょう。
このように読書には、他者の複雑な気持ちや苦悩を想像することで、孤独感を緩和してくれる効果もあります。
そして、高校時代の読書によって養った想像力や共感力は、大学や社会人生活でより良い人間関係を築いていくことにきっと役立ちます。
【2020年版】将来や進路に悩む高校生向けのおすすめ本10選
ここからは、Edv Magazine編集部が厳選した、進路や将来に悩む高校生向けの本を10冊ご紹介していきます。
1. 日本の給料&職業図鑑
固いイメージのある職業や給与解説を、中高生にも親しみのあるロールプレイングゲーム(RPG)の要素を使って説明している、一風変わった仕事図鑑です。最新版では271種類もの職業が収録されており、「世の中にはどんな仕事があるのだろう?」といった疑問の解消にも役立つ本となります。
実際にページを開いてみると、その仕事に就くための方法や、やりがい、給与グラフなどがRPGの攻略本のようなイメージで書かれています。
また、マグロ漁師のようなあまり馴染みがない仕事も収録されています。進路指導室にある一般的な職業本を読んで心惹かれるものが見つからない高校生にも、新たな刺激を与えてくれる本となるでしょう。
2. こんな僕でも社長になれた
ロリポップ!レンタルサーバーの立ち上げで知られる、家入一真さんのサクセスストーリーです。いじめ、両親の離婚、貧乏、ひきこもり、登校拒否といったさまざまなエピソードが書かれており、進路だけでなく家族や人間関係に悩む人にもやさしく寄り添ってくれる本だと思います。
また、家庭の事情で学校を中退されている家入さんの話は、「いい大学を出て、いい会社に入る」という日本ならではのレールに違和感を覚える高校生にも、人生のより良いヒントを与えてくれることでしょう。
こうした本から得た勇気は、高校生の進路決定だけでなく、大人になってから人生が行き詰まったときにもきっと役立ちます。
3. 大人になったらしたい仕事 「好き」を仕事にした35人の先輩たち
朝日中高生新聞に連載中の「夢ナビ!お仕事レポート」をまとめた書籍です。さまざまな仕事をしている35人が、その職業に就いた理由や、日々の楽しさや大変さをわかりやすく伝えてくれています。
「食べること」や「人と話すこと」、「自然や動物」といった好きなことで分類されているこの本は、具体的な職業名を知らない高校生でも自分の気になる情報をチェックしやすい構成です。中には、アウトドアガイドや日本酒醸造家のような、あまり知られていない職業も収録されています。
自分の興味や好きなことの追求は、前向きな人生を歩む上でも非常に大切です。そのため、今すでに好きなことがあって、それで生計を立てていきたいという思いが少しでもある高校生は、ぜひ読んでみてください。
4. 夢をかなえるゾウ
200万部を突破した超ベストセラー本。主人公とガネーシャの漫才のような掛け合いを通して、「そもそも成功とは何なのか?」や「成功するためにはどうすべきか?」といった自己啓発のメインテーマを説いています。
ネタバレになってしまうので詳細には言及しませんが、この本を読み進めていくと、人間としての価値につながるいくつかの課題が出てきます。そして、それらを意識し続けることで、夢をかなえるゾウの定義する“成功”に近づいていくようです。
簡単でシンプルな課題が連続しているので、一般のビジネス書にハードルを感じる高校生でも気軽に読めます。
5. 悩みどころと逃げどころ
世界一のプロゲーマー梅原大吾氏と、月間200万ページビューの社会派ブロガーちきりん氏の異色人生対談です。この本は、学校が大嫌いで授業中は寝てばかりいた梅原氏が、ちきりん氏のまわりにいる誰よりも考える力に長けていることへの尊敬や疑問から話が進んでいきます。
さらに読み進めていくと、いわゆるエリートコースよりも、頑張って自分の居場所を勝ち得ることの重要性や、ゲームなどの唯一無二と思えるものと出会えることの幸せなどの話題につながっていきますす。
異色コンビの話を通して仕事や生きる上で追求すべき本質的なことがわかると、進路を決める際に生じるモヤモヤも解消しやすくなると思います。
6. 「手紙屋」蛍雪篇 〜私の受験勉強を変えた十通の手紙〜
主人公と一緒に「何のために大学に行くんだろう?」や「何のために勉強するんだろう?」といった疑問の答えを見つけていく少し変わった小説です。謎の人物「手紙屋」と手紙のやりとりをすることで、主人公の抱える将来への不安や悩みが少しずつ解消されていくストーリーとなっています。
小説を通して高校2年生の主人公・和花の悩みに寄り添うと、「進路で両親と衝突するのは自分だけではない」と思えます。そしてこの本を読んだ読者は、自己嫌悪による悪循環からも脱しやすくなるでしょう。
主人公と一緒に「学ぶことの本質」を追求すると、心の底から納得した上で受験勉強に励み、大学進学という道を選びやすくなるはずです。
7. ボッコちゃん
ベストセラー『メモの魔力』の著者・前田裕二さんがおすすめする小説です。小説の中でも特に短いショートショートというジャンルに入ります。一話一話がかなり短いため、通学中の電車や就寝前などの少しの時間で読めるところも大きな魅力です。
著者の星新一さんは、人間の抱える業(ごう)や矛盾をストーリーの中に描くことを得意としています。そしてこの本を通して得られることも、「幸せとは何なのか」や「僕たちはなぜ生きているのか」といった本質が中心です。
表題作の『ボッコちゃん』は、近未来のバーを舞台に、男性の絶望的な恋を描く変わったストーリーです。自己啓発本やビジネス書などに抵抗がある高校生でも、ボッコちゃんなら気軽に読み進められるでしょう。
8. 孫子
小説や自己啓発本などに触れて読書に慣れてきたら、次は古典を通して昔の人の考えに触れてみましょう。『孫子』は、中国・春秋時代に活躍した武将・孫武によって書かれた、中国最古の古典です。
『孫子』は一般的に、戦略や戦術を洞察する兵法書として紹介されることが多いです。しかし実際は、部下と上司の関係や、成功するための心構えといった、現代におけるビジネスや人間関係の問題にも応用できる内容となっています。
この本には、原文と現代語訳、漢文の重要語句索引が収録されています。そのため、孫子の考え方や知恵に触れながら、漢文のスキルアップにも役立てられることでしょう。
9. ウシジマくんVSホリエモン 人生はカネじゃない!
マンガの主人公である裏社会の最恐経営者・ウシジマくんと、希代の実業家・ホリエモンが大激突しながら、仕事とカネの本質や、日本社会の問題に切り込んでいく本です。
日本の義務教育や学校などの話にも及んでいるため、進路を決める以前に毎日通う高校に対して違和感のある人にも、参考になるでしょう。また、レビューの中には、「人間関係に息苦しさを感じる人にもおすすめ」という声もあります。
常識にとらわれないホリエモンの考え方は、「普通」や「個性」といった概念の間で揺れ動く高校生にも、良き刺激を与えてくれることでしょう。また、大学に行かずに就職する場合も、こうした本を通してお金と向き合う時間をつくることは必要です。
10. スタートライン
18歳の2人の男女を中心に話が進む小説です。
自分の進路や恋愛に悩む主人公の姿は、この本を手に取る読者の孤独をやさしく癒やしてくれます。また、悩みを抱える子供に対するあたたかなメッセージが多く含まれているので、進路について両親や先生と上手く話し合いができず、ジレンマを抱える高校生にもやさしく寄り添ってくれることでしょう。
読み終えた後に人生における新しい視点を持ち、前向きな気持ちになれる一冊です。
まとめ
今回は、将来への不安や悩みを抱える高校生に向けて、さまざまな人の人生に良い影響を与え続けるおすすめ本を10冊紹介しました。
- 『日本の給料&職業図鑑』固いイメージのある職業や給与解説を、RPGの要素を使って説明している、一風変わった仕事図鑑
- 『こんな僕でも社長になれた』ロリポップ!レンタルサーバーの立ち上げで知られる、家入一真さんのサクセスストーリー
- 『大人になったらしたい仕事 「好き」を仕事にした35人の先輩たち』さまざまな仕事をしている35人が、その職業に就いた理由や、日々の楽しさや大変さを解説
- 『夢をかなえるゾウ』200万部を突破した超ベストセラー本
- 『悩みどころと逃げどころ』世界一のプロゲーマー梅原大吾氏と、月間200万ページビューの社会派ブロガーちきりん氏の異色人生対談
- 『「手紙屋」蛍雪篇 〜私の受験勉強を変えた十通の手紙〜』主人公と一緒に「学ぶことの本質」を追求する小説
- 『ボッコちゃん』「メモの魔力」の著者・前田裕二さんおすすめの小説。小説の中でも特に短いショートショート
- 『新訂 孫子』中国・春秋時代に活躍した武将・孫武によって書かれた、中国最古の古典
- 『ウシジマくんVSホリエモン 人生はカネじゃない!』ウシジマくんとホリエモンが大激突しながら、仕事とカネの本質や、日本社会の問題に切り込んでいく本
- 『スタートライン』18歳の、自分の進路や恋愛に悩む2人の男女を中心に話が進む小説
少しでも気になった本があれば、まずは1冊手にとってみてください。
進路を考えるうえで、将来の夢診断を受けるのもおすすめです。