世界各地からさまざまな人種が集まるアメリカ。今も昔も日本でもっとも人気の高い留学先であり、2018年度は約2万の日本人学生が留学しています。オーストラリアやイギリスなど同じ英語圏も人気ですが、国によって留学事情は異なります。アメリカ留学に関しては、どのような特徴があるのでしょうか。
今回は、留学の流れや準備すること、費用や節約ポイント、さらにはコロナ禍の現地情報もあわせて紹介していきます。
アメリカ留学の特徴
アメリカ留学の特徴について紹介します。
多様性に富んでいる
アメリカは「人種のるつぼ」といわれるとおり、ヨーロッパ系やヒスパニック系など、さまざまなバッググランドを持つ人々が共存しています。人種や文化の多様性に富んだ環境で学生生活を送ることは、良い刺激となり、国際的な視野を育めるでしょう。
学校数が多い
アメリカには高校や大学、語学学校など、留学生を受け入れる教育機関が多く設けられています。そのため、学校の選択肢が幅広く、かつ自分の希望と適性に応じて学校を探しやすいです。
教育プログラムが豊富
アメリカ留学にはITやアート、ダンスなど、さまざまなジャンルの教育プログラムが用意されています。日本ではなかなか専門的に学べない分野でも、「アメリカなら学べる!」と思える教育プログラムに巡り合えるかもしれません。
また、留学の途中でも専攻の変更や他校への転入システムも整っているのが、アメリカ留学の特徴の一つです。
アメリカ留学のメリット&デメリット
アメリカ留学を検討するうえで、メリットとデメリットをあらかじめ押さえておくことは大切です。両方を知っておくことで、自分に最適な留学プランを実現できるでしょう。
メリット
アメリカ留学のメリットは、何といっても最先端および本場の技術を学べることです。例えば、サンフランシスコにあるシリコンバレーは、アップルやインテルなど有名IT企業の本社があり、実際に社内で最先端の技術に触れる機会を設けています。ほかにもチアダンスの本場ということもあり、実績のあるコーチの指導を受けられる見込みもあります。
また日本と比較してアメリカの教育は、自分の考えや思いを主張する機会が多いので、主体性や積極性が培われます。「こんなことを言ったら嫌われるかも」といった同調圧力もからも開放されるので、「忖度」せず感じたことや思ったことを巧みに表現するスキルが磨かれるでしょう。
デメリット
一方でアメリカ留学のデメリットのひとつに、日本と比べて物価が高いことが挙げられます。特にニューヨークやワシントンなどの東海岸エリア、シアトルやサンフランシスコなどの西海岸エリアは、物価が高い傾向です(※)。留学先として物価の高い地域を検討している方は、週毎および月毎の生活費がどのくらいになるかシミュレーションしておきましょう。
また、アメリカ留学は滞在先によって治安の良し悪しが分かれているので、外務省の海外安全ホームページで配信されている「安全対策基礎データ」(アメリカ合衆国)の最新情報をチェックすることをおすすめします。
※参考:Northern America|Cost of Living Index by City 2020
アメリカ留学の流れ
アメリカ留学の流れは、以下のとおりです。
入学許可書を取得する
パスポートやビザの取得前に、留学を希望する学校に申し込みをして入学証明書(I-20)を発行してもらいましょう。
渡航関連の公的書類などを用意する
入学証明書が発行された後にやっておきたいのが、パスポートの用意とビザの申請です。パスポートを既に持っている場合は、留学終了後の帰国予定日まで有効期限があるかチェックをしましょう。
また、ビザの申請に関しては、オンラインでF-1ビザ(※一般的な学生ビザのこと、週18時間以上の授業を受ける留学生も対象)の手続きができます。
航空チケットを手配する
アメリカ留学の航空チケットに関しては、個人で手配するケースもあれば、留学エージェントが代理で手配するケースもあります。渡航日が決定したら、航空チケットの手配を進めましょう。
留学に必要なお金とカード類を用意する
留学前にしておきたいのが、銀行の外国為替などで円からドルへの換金です。そして、アメリカは日用品の買い物はキャッシュレス決済が基本となっているので、プリペイドカードやクレジットカード(※原則高校生は不可、家族カードならOKの場合あり)の発行も忘れずにしておきましょう。現地のATMでもお金の引き出しができるMoneyT Globalのカードは、高校生でも発行できます。
海外旅行保険に加入する
現地で怪我や病気になった、盗難に遭ったなどの不測の事態に備えるためにも海外保険には必ず加入しておきましょう。
※参考:留学まで手続きの流れ アメリカ留学学生ビザに関して|海外留学推進協会
アメリカ留学するときに準備すること
アメリカ留学するときは、パスポートやビザなど以外にも準備することがいくつかあります。主に準備することは、以下の3つです。
英語学習に打ち込む
今の時代、オンラインで英語に触れられる環境が整っているので、英会話アプリや語学サービスを活用して渡航前に英語を学習しておきましょう。英語に慣れておけば、留学先の生活にも早いタイミングでなじめます。
現地の生活および通信環境のチェック
留学先の生活環境をあらかじめチェックしておくと、現地の生活が始まっても心に余裕を持つことができます。
また、日本の学校や実家、友達との連絡のやりとりは基本オンラインになるのでが、滞在先の通信環境や現地の無料Wi-Fiスポットについてもあらかじめチェックしておきましょう。
生活用品の買い足しをする
留学先の徒歩圏内にスーパーマーケットやドラッグストアがあるとは限りません。また日本では普通に売っているものでも現地では手に入りにくい場合があります。必要最低限の生活用品の買い足しをおすすめします。
アメリカ留学の費用内訳
アメリカ留学の費用には、学費だけでなく渡航費や滞在費などもかかってきます。ここでは主な費用の内訳を紹介します。
学費
学費は、主に留学先の授業料のことを指しており、学校によって提示している金額に違いが生じます。高校留学の場合、公立高校のほうが私立高校に比べ学費は安く設定されています。また大学留学も、州立大学のほうが私立大学に比べて学費を抑えられます。
滞在費
留学先で生活する寮やホームステイにかかる家賃のことです。滞在する時期や地域によって賃料の相場は変わります。特にニューヨークやロサンゼルスといった都市部は滞在費が高い傾向です。
現地の生活費と通信費
現地の生活で発生する費用であり、主に食べ物や生活用品の購入、通信費の支払いにかかります。
渡航費
往復の航空チケットは、オンシーズン(8月、年末年始)とオフシーズン(2月、10月~11月)で金額に違いが生じます。また、LCCを取り扱う航空会社を選べば渡航費を安く抑えることも可能です。ハワイアン航空では、羽田空港発のホノルル経由ロスアンゼルス行きの格安航空券を取り扱っているので、HIS格安航空券の専用サイトなどで渡航費をチェックすることをおすすめします。
海外旅行保険料
留学する期間が長期でも短期でも入っておきたいのが、海外旅行保険です。AIG損保の「海外留学保険」や東京海上日動の「留学・ワーキングホリデープラン」など海外留学に特化した保険もあるので、期間や予算に応じて適切なものに加入しましょう。
ビザ申請料
留学で申請する学生ビザ(F-1ビザ)には、160ドル(約1,800円)かかります。また、ビザ申請を代行会社に依頼した場合は、追加で代行手数料も発生します。
節約につながる、留学を奨学金で対応するポイント
アメリカの現地高校へ1年間留学する際に負担する金額は、公立なら約150万円、私立なら250万円以上かかるといわれています。
このように日本の高校の学費と比べると、はるかに高いアメリカ留学費用。おそらく奨学金制度を利用して節約したいという人もいることでしょう。
こちらの章では、奨学金の情報について紹介をします。
留学に対応した主な奨学金制度
奨学金には大きく分けて「返済型」と返済不要の「給付型」がありますが、アメリカ留学に対応した奨学金制度は「給付型」の奨学金2種類です。
メリット型奨学金
「メリット型奨学金」は、主に優れた学業成績を修めた学生や、スポーツ競技やボランティア活動、アート系などの校外活動において輝かしい実績を残した学生を対象としています。留学中に優れた成績を修めていれば、卒業まで継続して支給されるタイプの奨学金もあります。
ニード型奨学金
「ニード奨学金」は、学費や生活費などを全額負担することが困難な家庭向けに支給される奨学金です。学費や生活費が全額または減免となり、ほとんど返済の義務が発生しません。申請には保護者の所得が記載された書類などの提出が必要です。
また、文部科学省が管轄している「トビタテ!留学JAPAN」でも、返済不要の奨学金制度を設けているのでチェックしてみてください。
学校や英語の資格で高い成績を修める
給付型の奨学金の条件として、学業が優秀であることや、英検2級以上などの英語の資格を取得していることがよく挙げられます。成績や資格の条件をクリアしていると、奨学金の審査が通りやすくなるだけでなく、より多くの給付金額を獲得しやすくなります。
エッセイを提出する
ボランティアや地域活動などの校外活動を積極的かつ継続的に行っている場合、英文のエッセイを提出するのも一つの手です。
留学へのひたむきな思いと一緒に、これまでの活動内容をエピソードを交えて「エッセイ」としてまとめることで、ほかのエントリーした人たちとの差別化も図れ、審査する側にも好印象を与えられるかもしれません。
推薦状を書いてもらう
部活や学校行事、スポーツなどの授業以外のシーンで活躍している場合、学校の先生に推薦状を書いてもらうこともおすすめです。
【参考】コロナ禍のアメリカ現地事情(※2020年6月時点)
2020年1月以降「新型コロナウイルス」の感染拡大により、東京オリンピックをはじめとする国内外のイベントは自粛や延期を余儀なくされており、自由に海外へ渡航できない状況です。(※こちらに記載の情報は2020年6月1日時点のものです)
アメリカ主要都市の留学生の受け入れ状況
新型コロナウイルスによる死者10万人を出したアメリカでは、入国規制がかかっていることもあり、学生ビザの発給は行われず、留学生の受け入れもストップしています。
また、サンフランシスコなどの主要都市に留学していた学生は、通っていた学校が休校となり、帰国を余儀なくされています。
アメリカ留学したいなら政府や公的機関の情報もチェック
おそらく新型コロナウイルスの件で、多かれ少なかれ留学を断念した高校生・大学生もいることでしょう。その一方で、「Withコロナ」となった状況でも近い将来にアメリカ留学をしたいという方もいるかもしれません。
ブレない思いで「いつかはアメリカ留学をしたい!」という方は、留学に向けた語学力の向上や準備を継続しつつ、政府や大使館などの公的機関から発信されている最新情報をチェックしておきましょう。いま地道な積み重ねを継続することで、渡航可能になったときに、きっと留学を実現できるでしょう。
以下の政府や公的機関の公式サイトを定期的にチェックすることをおすすめします。