大学留学の基礎知識|留学の種類・申込方法・費用など

Edv Magazine 編集部

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大学留学の基礎知識|留学の種類・申込方法・費用など

大学在学中に海外留学をする学生は多く、政府も「トビタテ!留学JAPAN」と銘打って留学促進に力を入れています。実際、留学者数は、2009年度は36,302人、2014年度は81,219人、そして2018年度は115,146名と年々増加傾向です(※)。

今回は、大学留学の種類・申込方法・費用・メリット/デメリット・人気国・留学に力を入れている大学など幅広く紹介します。比較的自由な時間の多い大学生時代に留学をしてみたい方はぜひ参考にしてみてください。

※参考:2018年度日本人学生留学状況調査結果|独立行政法人日本学生支援機構

大学留学の種類

まずは、留学の種類について解説していきます。

交換留学

交換留学とは、大学が提携している海外の大学へ通う留学スタイルです。大学に籍を置いたまま留学を行うため、留学先の学びが日本で単位として認定されるケースも多く、また留学費用の一部を大学が負担してくれるというメリットがあります。

留学期間は、基本的に1年間と定められています。学内で成績や語学試験の結果によって選考を行う場合もありますので、交換留学を希望する場合は早めに学内の相談窓口に行き、参加条件を調べておくのがよいでしょう。

認定留学

認定留学とは、留学先で得た単位を日本の大学の卒業単位として認定してもらうことができる留学スタイルです。提携校が決まっている交換留学よりも自由度が高く、自分の希望する国、学校を選んで留学することができます。

休学扱いにならないため卒業年度に影響がないというメリットがありますが、留学費用は全額自己負担となるデメリットもあります。

休学留学

休学留学とは、大学を休学して行う留学スタイルです。自分が希望する国、学校、時期を選んで自由に留学できるため、やりたいことや学びたいことが具体的に決まっている人にとっては大きなメリットがあります。

留学期間は、基本的には自由に設定できますが、大学の休学期間が学期単位であるため、半年もしくは1年間区切りで留学する人が多いです。もちろん休学した分卒業も遅れるため、ストレートで卒業することにこだわらない人に向いています。

短期留学

短期留学は、夏休みや春休みなどの長期休暇を利用して行う留学スタイルです。語学力を身に付けたり、その国特有の文化を学んだりできるほか、自然体験や観光など各種プログラムに参加することができます。

期間は1週間~3ヶ月と幅があり、自分の都合に合わせて柔軟にプランを組めるのがメリットです。

ダブルディグリー留学

ダブルディグリー留学とは、日本の大学に籍を置いたまま、日本と留学先の学校どちらにおいても単位の取得ができる留学スタイルです。

2年以上の長期に渡って現地学生と共に学ぶため相当の語学力が必要ではありますが、2つの学校を同時に卒業し、両大学の学位を得られるのが大きなメリットです。将来、外資系企業や国際機関に就職して国際社会の前線で活躍したいと考えている人にとっては、非常に魅力ある留学スタイルだといえます。

大学留学までのステップ

次に、実際に大学留学をするまでのステップについて解説していきます。

留学の種類(国、プログラム等)を決める

まずは、留学の種類を決定します。留学先で何を学びたいのか、どんな経験を得たいのか、どう将来に役立てていきたいのか、自分が留学に期待している内容についてよく考えましょう。それらが決まれば、留学をする国、学校、プログラムが選びやすくなります。

留学に関する情報を調べる際には、信用度の高い公式情報を優先的に参考にすることです。大使館などの公的機関の情報、ノウハウを持っている留学エージェントが提示している情報を集めてみるとよいでしょう。大学の留学センターにいる職員に相談するのもおすすめです。

語学能力試験や留学選考を受ける

留学の種類によっては、語学能力試験や留学選考があります。TOEFL、TOEFL-ITP、IELTS、韓国語能力試験、HSK中国語能力認定試験、DELF DALFフランス語資格試験など、留学する国や学校によって採用している語学能力試験は異なります。年に数回しか受験機会がない試験もありますので、留学の意思が固まったら早めに対策を練ります。

また、単位取得状況を鑑みて学内選考が行われる可能性もあります。留学に関係のない授業であっても手を抜かず、好成績を維持するよう心掛けましょう。

書類の準備・申込を行う

留学したい国や学校が決まったら、必要書類を調べて申し込みを行います。語学能力試験の結果や、大学が発行する成績証明書、在籍証明書もしくは休学証明書、留学費用を支払う力があることを証明するための財政証明書など、受け入れ先によって必要書類は異なります。

書類の取り寄せに想定以上の時間がかかる場合もありますので、早めに準備を始めましょう。書類不備が発生しないよう、留学センターの職員に協力を仰ぐなどして複数人でチェックするようにします。

留学費用を納入する

留学費用を納入する期限は受け入れ先の学校により異なりますが、留学の申し込みが受理されてから実際にビザを申請して渡航手続きを行うまでの間に設定されていることが多いです。

長期の留学であればあるほど費用も高額になりますので、金額は早めに確認して準備するようにしましょう。万が一納入期限に間に合わなかった場合は留学が取り消しとなってしまう可能性もありますので、十分注意が必要です。

渡航手続きをする

パスポートやビザの申請、留学保険への加入、航空券や宿泊先の手配など、渡航するための手続きや現地での生活についての準備を始めます。日本から持っていく教材や資料などもよく確認し、自分に必要なものを全て用意しておくようにしましょう。

渡航日が近づいてきたら、荷物をパッキングしたり、現地の連絡先を整理したりするなど細かい準備も必要です。

大学留学にかかる費用

大学留学にかかる必要は、留学の種類や国によって幅があります。ここでは、出発前にかかるものと留学中にかかるものとに項目を分けたうえで解説していきます。

【出発前】語学能力試験や出願にかかる費用

語学能力試験の受験料や各種証明書を取り寄せるための収入印紙代、手数料など、留学に出願するためにかかる費用です。

出願のために語学力の基準が設けられている場合もあり、語学能力試験で基準を下回ってしまった場合は再受験する必要がありますので、一発合格できなかったときのことを考え、余裕をもたせた金額を準備しておきましょう。

【出発前】往復渡航費

日本と留学先の国の往復にかかる費用です。夏休みなどトップシーズンに渡航する場合は航空券代も高くなる傾向にあります。渡航時期の相場を調べ、LCC等の格安航空券を比較検討しておくことをおすすめします。

【出発前】海外留学保険料・健康診断料

留学の申し込み前後に必要になる費用です。

海外留学保険は、留学先で怪我をしてしまった際の治療費や、スマートフォンやカメラなどの高級品を破損紛失してしまったときの修理費、人に怪我をさせてしまったり人の持ち物を破損してしまったりしたときの賠償費として請求することができます。万が一のトラブルに遭遇した際に非常に心強いので、必ず加入しておきましょう

また、留学先によっては健康診断の結果が必要になる場合もあります。これまでに罹った病気や持病の有無、予防接種歴を確認するためのものです。指定の予防接種を行っていなかった場合、期限までに接種します。

【出発前】パスポートやビザなど諸手続き費用

渡航に必要なパスポートやビザを取得するための費用です。

12歳以上の人が5年間有効なパスポートを取得する場合は11,000円、20歳以上の人が10年間有効なパスポートを取得する場合は16,000円必要です。

ビザの費用は国や取得ビザの内容によって異なりますが、15,000円~40,000円程度をみておきましょう。

【留学中】学費

現地の学校に支払う学費です。教科書やタブレットなど教材にかかる費用のほか、ゼミや実地研修に参加する際にかかる費用などさまざまです。留学先への入学金や、日本の大学の休学費が必要になるケースもあります。

アジア圏2週間程度の短期留学であれば20万円~40万円、ヨーロッパ圏に1年間自費で行く留学であれば250万円~400万円程度と、かなり幅があります。

【留学中】居住費・生活費・交通費

現地での生活にかかる費用です。学生寮やホテルに支払う宿泊費、食費、通信費、光熱費、交通費、交際費などが必要です。現地の物価を調べたうえで、余裕をもって準備しておきましょう。

また、一度に大量の現金を持ち込むと紛失や盗難のリスクも発生します。現地のATMを利用して下ろせるようにしたり、クレジットカードや電子マネーを利用したりするなどの対策も必要です。

大学留学をするメリット

留学をするメリットはたくさんありますが、ここでは4つピックアップしてみました。

語学力が身に付く

留学の大きなメリットとして、まず語学力が身に付くことが挙げられます。外国語で授業を受け、現地の学生と交流することによって、日本国内で勉強する以上のスピードと質での語学スキルの向上を期待できます。

日本語から離れ、外国語が当たり前の環境に身を置くと、その言語で思考し、コミュニケーションする必要性に迫られます。頭のなかでいちいち日本語に変換していては追いつかないため、留学期間にもよりますがバイリンガルに近いレベルまで鍛えられるでしょう。

進路の選択肢が広がる

留学は進路の選択肢を広げる可能性があります。国内でずっと生活していると物事の基準が日本もしくは自分の住んでいる都道府県になってしまい、就職活動においてもその基準から逸脱することは簡単ではありません。

その一方、留学によって海外の文化・市場・ビジネス等に触れた経験があると、国内で取れる選択肢を客観的に捉えることができ、また海外で働くという選択もしやすくなります。同じ職種であっても、世界の動向を俯瞰して、日本ではなく外国のほうが仕事環境や待遇がいいという判断などもより的確にできるでしょう。

新たな価値観に触れる

言語だけでなく文化や生活習慣も異なる環境に身を置くことで、新たな価値観に触れることができます。日本で「当たり前」と思っていたことが通用しない場面が多々あるので、どう自分と異なる価値観と折り合いをつけるかという経験を得られるでしょう。今までと違う視点で物事を捉えたり、自分の考え方を変えたりするきっかけにもなります。

より深く専門分野の勉強ができる

留学先として選ぶ国や学校によっては、自分が興味のある分野においてより専門的な勉強ができます。特定の分野で活躍している第一人者や有名な教授のもとで勉強できれば、知識はもちろん、学問に向き合う姿勢も磨くことができるでしょう。

大学留学をするデメリット

反対に、留学をするデメリットについてもよく検討しておきましょう。ここでは3つピックアップしてみました。

費用がかかる

留学には、ある程度まとまった金額が必要です。期間が長くなればなるほど、遠方であればあるほど費用も高くなるので、事前に予算や見積もりについて検討しておくことが大切です。

費用負担を減らして留学をしたい場合は、短期留学や、国・学校が一部費用を負担してくれる交換留学を検討するのもおすすめです。また、学校によっては留学生用に奨学金が用意されていることもありますので、利用できる制度についてもよく確認しておきましょう。

就職が遅れる可能性がある

留学期間によっては、休学が必要になったり卒業年度がズレたりする場合があるため就職が遅れる可能性があります。留学先で得た単位を日本の大学で単位として活用できるものもありますので、ストレートで卒業したい場合には留学の種類について慎重に検討しましょう。

目的なしではあまり身に付くものがない

自分が留学先で何を学びたいか、どんな経験を得たいか、帰国してからどんな道を歩みたいのかという目的についてしっかり考えておかないと、あまり身に付くものがありません。目的や目標がないままだと、留学ではなく観光のような時間を過ごすことになります。下手すると国内にいたほうがマシだったということになるでしょう。

留学を申し込む前に「なぜ留学するのか」という問いを深めたうえで、目的意識を持って留学に臨みましょう。

主な留学先となる国

大学留学として特に人気のある国について紹介していきます。

アメリカ

アメリカは、アート、ファッション、グルメ、スポーツなどさまざまな文化が集まるだけでなく、大学、美術館、図書館などの文化的施設も豊富です。世界中から人が集まり文化創造の発信地であるニューヨーク、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学などの名門校があるボストンが特に人気なエリアです。

参考:アメリカ留学とは?特徴・費用・節約方法などを解説

オーストラリア

オーストラリアは、自然と高層ビル群をあわせ持つシドニーや、ビクトリア王朝の歴史的建造物が有名なメルボルンなどが人気です。

留学生の権利を保護するための「ESOS法」という法律が制定されており、安心して勉強ができます。ただし、英語にはオーストラリア独特の訛りがあるので、語学留学を目的とする場合は注意しておきましょう。

参考:オーストラリア留学のポイントを解説!費用・節約方法・人気エリアなども紹介

カナダ

カナダは、治安がよく豊かな自然を楽しめるバンクーバーや、演劇や美術で有名なトロントなどが人気です。

さまざまな分野の学科が揃う総合大学であるユニバーシティ、2~4年制のプログラムのなかで専門分野を学ぶカレッジ、どちらの特性も持ち合わせているユニバーシティカレッジなど、学びの場が多いのも特徴です。

参考:カナダ留学のメリットは?特徴や費用、おすすめエリア&大学を紹介

韓国

韓国は、非常に教育熱心な国民が多く、かつ苛烈な大学受験戦争が繰り広げられていることもあり、大学生の教育水準が高いのが特徴です。

名門校の多いソウルや、日本語学校の多い釜山が特に人気のあるエリアです。

参考:韓国留学のメリット・デメリットは?学校選びのポイントも紹介

中国

地域ごとに文化が異なる多文化共生社会であり、同じ中国語でも広東語、北京語、上海語など多様なイントネーションを学ぶことができます。特にIT技術の発展がめざましく、安定した産業技術も加わって経済大国としての地位を確立しています。

日本から中国へ、中国から日本へ進出する企業も多く、就職をするうえでも中国留学の経験が役立つ機会は増えています。

大学例:北京大学、北京師範大学

その他

ほかにも、歴史・音楽・教育の水準が高いイギリスや、学校と企業が提携したインターンシップが盛んなフランス、多国籍な海の街であるニュージーランドなど、留学先は多数あります。

国ごとの特性を知り、自分の学びたい内容と照らし合わせて留学先を決めていきましょう。

留学に力を入れている国内の大学

留学に力を入れている日本国内の大学を、5つピックアップしてみました。

早稲田大学

早稲田大学は、留学センターという専門の機関を設置して、留学をする日本人学生や来日した留学生に対して手厚いサポートを行っています。協定校の数も多く、海外の企業や団体と協力した留学プログラムや学内独自の奨学金制度を設立しているなど、幅広い選択肢が設けられています。

京都大学

京都大学では、KCJS(Kyoto Consortium for Japanese Studies)やSJC(Stanford Japan Center)などアメリカ大学生と共に英語講義を受けられる制度が整っています。

留学のための語学サポートのみならず、オックスフォード大学やケンブリッジ大学など世界トップクラスの大学に短期留学できる「ジョン万プログラム」、世界銀行、NASA、国際開発NGOなどを訪問できる「Kngfisher Global Leadership Program with Kyoto University」など、さまざまな留学プログラムが用意されています。

東洋大学

東洋大学は豊富な奨学金制度を設けていて、短期留学を目指す学生がTOEIC790点取得した場合は30万円、長期留学を目指す学生であれば50万円を返還義務なしで給付するなど、費用面のサポートが手厚いのが特徴的です。

点数に応じて給付可能な金額が変わるため、自分が目指したい語学レベルや留学先で求められる点数に応じてチャレンジできるのが魅力だといえます。

立命館大学

立命館大学では、3つのレベルに分けて留学プログラムを用意しています。自分の目的や語学レベルに合わせて、文化交流をするために1週間留学をするようなものから、2年間の間に立命館大学と留学先の大学両方の卒業資格を得るチャレンジをするようなものまでさまざまです。

立命館大学のホームページには学生の留学体験記が豊富に掲載されているので、気になる人は目を通してみてください。

関西学院大学

関西学院大学では、留学先で履修した授業がそのまま関西学院大学の単位として認められるプログラムを豊富に用意しています。留学に行くことにより卒業が遅れるというデメリットをカバーしつつ、3週間程度の語学留学から1年間の交換留学まで多くの選択肢を設けています。

また海外フィールドワークや国際ボランティアなどのプログラムも用意されており、興味関心に合わせて選ぶことが可能です。

まとめ

大学留学をするうえで最も重要なのは「なぜ留学をするのか」「どんなことを学びたいのか」など、留学の目的を明確化させておくことにあります。高校留学以上に、留学の種類や支援プログラムが豊富に用意されているため、目的意識を持って臨むようにしましょう。

大学生時代に留学することを視野に入れて進路選択をする場合は、留学に力を入れている大学について調べてみるのもおすすめです。

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