高校卒業後の進路を考えるに当たり、そもそも進学するか就職するかで迷っている人はいませんか?
友人たちは将来を見据えてしっかり進路計画を立てているのに、「自分はやりたいことすら見つからない」「やりたいことと現実にギャップがあって、どちらを選べばいいか分からない」と悩むこともあるでしょう。
今回は、進学と就職それぞれのメリット・デメリットを解説します。迷ったときの基準を決める4つの方法も紹介しますので、ぜひ目を通してみてください。
高校卒業後、みんなどんな道に進んでいる?
先輩たちは、高校卒業後どんな道に進んでいるのでしょうか。そもそもどんな選択肢があるのかも含め、ここでは過去の進路状況を解説します。
※以下の数値は文部科学省『高等学校卒業者の学科別進路状況』を参考にした2020年のデータです。
大学・短大進学率は55.8%
2020年の大学・短大への現役進学率は55.8%です(※通信教育部への進学は除く)。高校生の実に半数以上が進学をしています。
ちなみに2000年の同進学率は45.1%、2010年は54.3%と年々上昇傾向にあります。
就職率は17.5%
2020年の高校卒業者の就職率は17.5%です。工業高校・農業高校・商業高校・水産高校など専門的な学習をしてきた高校生が多くを占めます。
ちなみに高校卒業後、就職のための技能をつける専修学校や職業訓練校(公共職業能力開発施設)などに行く割合は21.8%です。
新型コロナウイルス流行による影響
新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、進路変更を余儀なくされる高校生が増えています。
この背景には、旅行業界や飲食業界では業績が悪化する企業が多く、求人数が減っていることが挙げられます。そのため希望する職種の求人がないため進学に切り替えたり、経済的理由からやむなく別職種に就職したりするケースが増えているのです。
高校を卒業して進路に悩む人に向けて、全国のハローワークでは求人情報の提供や個別の相談に応じています。進学か就職を決められないまま卒業する人も一定数以上いるため、該当する人は最寄りのハローワークで相談してみましょう。
高卒で就職するメリット
まずは、高卒で就職するメリットを解説します。就職に興味がある人は、ぜひ目を通してみてください。
すぐにお金を手に入れられる
10代のうちからお金を稼ぐことで、さまざまな経験を自らできるようになり、支出と収入のバランスを意識した金銭管理のスキルも身につくでしょう。
また、若いうちに経験しておきたい旅行や趣味を謳歌したり、将来に備えた貯金や資産運用もしやすくなります。
一人立ちするのが早くなる
親の経済力に頼ることが減るため、自ずと生活力が養われます。
自分の力で生計を立て一人暮らしを始めることで、お金の使い方や地域社会との関わりなど社会人に必要な力が身についていきます。
早くから社会人経験を積める
浪人や留年せず大学を現役で卒業した場合でも、社会に出るのは高校卒業後すぐ就職した人より4年遅くなります。
また、医学部や薬学部など4年以上勉強する学部に進学したり、さらに大学院に進学したりすると、その分学生期間が長くなるでしょう。
高卒就職の道を選択することで、働く上で欠かせない技能やコミュニケーション能力を早いうちに身につけられます。
高卒で就職するデメリット
高卒で就職するデメリットも確認していきましょう。
転職時に不利になる可能性がある
20代30代と年齢を重ねてから転職する際、学歴の面で不利になることがあります。
高校卒業後すぐの就職は学校やハローワークが全面的にサポートしてくれますが、それ以降の転職は自分だけでやらねばならず、思った以上に苦戦する人も少なくありません。
生涯年収が低くなりやすい
統計的に高卒就職者は生涯年収が低くなりやすい傾向にあります。
大卒が生涯に稼ぐ金額は平均2億6,630万円ですが、高卒が生涯に稼ぐ金額は平均2億670万円であり、5,960万円の差があります(※)。
約6,000万円あれば、老後の心配をなくしたり海外旅行に出かけたりしやすくなると考えればこの差は大きいです。
もちろん高卒で年収数千万円を稼ぐ人もいますし、大学卒業後就職に困ってしまう人もいるので一概には判断できませんが、リスクの1つとして知っておきましょう。
卒業後に進学するメリット
次に、卒業後に大学へ進学するメリットを解説します。
進学先でしか学べないことを学べる
進学することでしか学べないことを学べるのが、まず大きなメリットです。
学習指導要領に縛られない大学独自の勉強ができ、ゼミや研究室などに所属しながらより深掘りした学びを追及できます。
つまり、学術的・理論的な学問を習得しながら、幅広い教養を身につけられるということです。学びの楽しさを知ることはもちろん、就職や生活に役立つことも期待できます。
資格を取得しやすくなる
進学することで、独学では難しい資格にも手が届くようになります。
学校によっては資格取得サポートに特化したカリキュラムがあったり、専門の相談員をおいたりしています。
医師・薬剤師・宇宙飛行士などは大卒が必須、教員・CA・看護師などは最低でも専門学校や短大を出ておく必要があります。
初任給が高くなる
高卒の初任給が平均161,300円なのに対し、短大や専門卒は176,900円、大卒は203,400円です(※)。
高卒より社会に出るのは遅れますが、その分就職してすぐから高い給与を得られる傾向にあります。
任せられる仕事の幅やキャリアステップも異なる場合がありますので、進学したからこそのメリットを享受できるでしょう。
卒業後に進学するデメリット
卒業後に進学するデメリットも確認していきましょう。
学費がかかる
文系私立大学の学費は4年合計で平均460万円であり、学費だけでも大きな負担がかかると分かります。
理系学部や医学部の場合は3,000万円近くかかるケースもあり、進路によってかなりの差があります。
この他に入学金・施設設備費・留学準備金がかかったり、一人暮らしするのであればアパートの家賃や光熱費が必要になるため、問題なく支払えるか、奨学金を利用する必要があるかなど、事前に検討しておきましょう。
参考:大学で利用できる奨学金制度とは?おすすめの奨学金も解説
社会に出るのが遅れる
進学すると大学等で4年以上は過ごすことになるため、その分社会に出るのが遅れます。
早く一人暮らししたい人や、若いうちから自分の力で稼ぎたい人にとっては、デメリットになるかもしれません。
しかし、平均生涯年収は高卒より大卒や短大卒の方が高いという結果が出ています。進学先で学んだことを着実に活かして働けば「出遅れた」と感じずに済むかもしれません。
進学か就職か悩むときの決め方4選
ここでは、進学か就職か悩む人に向けて、進路の決め方を4つお伝えします。自分に当てはめながら確認していきましょう。
①学びたい内容で決める
「国際間の紛争解決や平和な社会に興味がある」「農業にテクノロジーを活かす方法を探りたい」など、自分の興味・関心領域がある場合、それを学べる学校があるか、もしくは関連した就職先はあるか探してみましょう。
「学び」は決して学校でしかできないものではなく、企業で実践を通して学ぶこともあります。自分の興味ある分野を学問として学びたいのか、はたまた実践を通して学びたいのか検討してみてください。
②将来なりたい職業で決める
「看護師になりたいから、看護を学べる学校で国家試験に合格したい」「地元で小学校の先生になるために、教職課程が豊富で教育実習先に地元校を選べる学校がいいな」
など、将来の理想から逆算して決めるのも一つの手です。
大工や職人など経験年数が重視される仕事であれば、進学せず就職するというのも考えられます。
③お金の問題で決める
「家計が厳しくて今すぐにでも安定した収入が欲しいから、就職しよう」「奨学金を借りてでも勉強し、将来返済が負担にならないくらい稼げるようになろう」など、現実的な目線で進路選択する人も多いものです。
気になる進学先があれば、パンフレットを取り寄せたりオープンキャンパスに参加したりしながら、必要な学費を試算してみましょう。
④ライフプランで決める
「将来子どもが欲しいし、マイホームも買いたいから高い収入を得たい」「海外で仕事ができるよう、若いうちにいろいろな経験を積んでおきたい」など、30〜40代の自分を想像しながら計画していきます。
もちろんプラン通りにいかなかったり途中で変更したりすることもありますが、将来に備えて今努力することが重要です。
「やりたいことが見つからないから進学」がアリな理由
どうしてもやりたいことが見つからないときは、進学するのがおすすめです。
やりたいことが見つかっていないのに「何となく」で進学する人に疑問を持つ人もいますが、心配はありません。ここでは、その理由をお伝えします。
進学先でやりたいことが見つかる可能性があるから
今はまだ自分が知らないだけで、今後興味が搔き立てられる分野が見つかるかもしれません。
大学には自分の知らない世界や学問の領域が膨大にあるため、その中から一つだけでも興味のあるものを見つけていけばいいのです。
やりたいことが見つかったら、積極的に学んでいきましょう。それが将来の自分を支える糧となります。
将来の選択肢が増えるから
大卒限定の求人に応募できたり、30歳になってから興味が湧いた資格を取りやすくなったり、進学した効果が10年後20年後に発揮されることもあります。
特にやりたいことがないなら、将来の選択肢を増やせる道を選択しておいた方がよいでしょう。
焦って決めて後悔するリスクを減らせるから
進学すれば、大学に通う4年間をかけてじっくり自分の将来を考えることができます。
悩みに悩んだ結果、高卒でも応募可能な仕事に就くのもよいですし、もちろん大卒でしかできない仕事にチャレンジしてみるのもよいでしょう。
高卒の人が年を取ってから大学受験にチャレンジすることも可能ですが、後悔しないよう進学の道を歩む人も多いのです。
まとめ
今回は進学か就職かという進路選択について解説してきました。学びたい内容、将来なりたい職業、お金の問題、ライフプランなどを総合的に考え、自分に合った道を見つけていきましょう。高校の間にどうしてもやりたいことが見つからない場合はまず進学することをおすすめします。
関連おすすめ記事