高校生のうちに資格や検定を取ることで、進学や就職で有利になる場合があります。とりわけ総合型選抜では資格を出願要件として設けているケースもあり、自分のスキルを客観的に証明する必要が出てきます。
そこで今回は、高校生のうちに取得を目指せるおすすめの資格を紹介します。進路希望と照らし合わせながら、興味のあるものを見つけてみてください。
高校生が資格を取るメリット
普通高校に通っている高校生の場合、なにも資格を取らず卒業する人がほとんどでしょう。そんななか、あえて時間と費用を割いて資格取得にチャレンジする理由は大きく2つあります。
メリットの1つ目は、進学や就職に役立つことです。資格があると、自分のスキルを客観的に証明できます。たとえば単純に「私は英語ができます」というより「TOEFL iBTで80点取りました」と伝えるほうが説得力が大きいです。また学部や選抜試験の募集要項によっては、資格が必要条件になっていることもあります。
メリットの2つ目は、目標をもって勉強に取り組めることです。「英検準2級合格」「TOEFL iBT 80点」というように資格は、合格・不合格や点数がはっきりと示されます。そのため、自分が達成すべき目標を明確に定めることができるのです。目標が明確になればやるべきことも明確になり、勉強のモチベーションも保ちやすくなるでしょう。
以上、高校生が資格を取るメリットです。ここからはおすすめの資格を13コ紹介します。
①実用英語技能検定(英検)
英検は、毎年230万人が受験する英語技能の検定試験です。高校受験の内申点加算、大学受験の総合型選抜での加点などにつながる可能性があります。
上から1級・準1級・2級・準2級・3級・4級・5級の7段階に分かれ、3級以上は筆記とリスニングに加え、面接試験が課されます。2級が高校卒業程度のレベルとされていますので、卒業までに2級の取得を目指すのがよいでしょう。
②TEAP
TEAP(ティープ|Test of English for Academic Purposes)は、大学入試や大学入学後を想定した内容が中心のスコア型英語検定です。受験資格は高校1年生以上からですが、内容的には高校3年生以上向けの試験といえるでしょう。
出題は、リーディング・ライティング・スピーキング・リスニングなど幅広い範囲から行われます。リーディングとリスニングはマークシートによる選択形式、ライティングは自由記述形式、スピーキングは面接官とのマンツーマンコミュニケーション形式で行われるのが特徴です。
③TOEFL
TOEFL(トーフル|Test of English as a Foreign Language)は、母国語が英語でない人向けのスコア型英語検定です。日本だけでなく世界中で活用されている試験であり、入試や出願の基準のひとつとして設けている海外大学も少なくありません。
TOEFLには、TOEFL iBTとTOEFL ITPの2種類があります。iBTは世界中の教育機関で数多く採用されているもので、ITPは特定の教育機関で採用されているものです。海外大学への進学や留学を考えている人は基本的にiBTを取るといいでしょう。
TOEFLで出題される問題は、歴史学・生物学・哲学・政治学・宗教学などアカデミックな話題を扱うことが多いため、単純な英語力だけでなく幅広い知識や思考力も求められます。
④IELTS
IELTS(アイエルツ|International English Language Testing System)は、イギリスで開発されたスコア型英語検定です。TOEFL同様に世界中の大学入試で活用されており、受験者の英語スキルを図るために使われています。
出題形式は2パターンあり、留学用の「アカデミックモジュール」と移住用の「ジェネラルトレーニングモジュール」に分けられます。日本の高校生の場合は留学を見据えて受験することがほとんどなので、アカデミックモジュールで申し込むことになるでしょう。
⑤中国語検定(中検)
中国語検定(中検)は、中国語の技能を測る検定試験です。1級・準1級・2級・3級・4級・準4級の6段階に分かれ、リスニング試験と筆記試験が行われます。
近年、国際社会における中国の発言力を上がっていることや、中国の経済圏に進出する日本企業が増えていることを受け、中検合格者を優遇する大学が年々増えてきています。合格にはリスニングと筆記の両方で基準点をクリアする必要があります。
⑥日本漢字能力検定(漢検)
日本漢字能力検定(漢検)は、漢字能力を測定する検定試験です。1級・準1級・2級・準2級・3級~10級の12段階に分かれ、常用漢字を文章内で適切に活用する能力が問われます。
漢字の読み書きだけでなく、部首名・送り仮名・対義語・類義語・同音同訓漢字・誤字訂正・四字熟語など幅広い角度から出題されます。漢検2級が高校卒業程度のレベルとされているので、2級を目標にするといいでしょう。
⑦Literas 論理言語力検定
Literas(リテラス)論理言語力検定は、社会で活躍するために必要な文章理解力やテキストコミュニケーション能力を測る検定試験です。かつてあった「語彙・読解力検定」の発展版となります。
「語彙運用力」「情報理解力」「社会理解力」の3つの領域に分かれ、時代のトレンドを反映した出題内容が特徴です。語彙や文章に関する力だけでなく、ニュースを正確に読み聞きする力や、複数の資料を比較・整理する力などが試されるため、現代社会を生き抜く複合的な力を測ることができます。
⑧日本語検定
日本語検定は、総合的な日本語力を問い、自分の言葉で正確に言葉を伝えるコミュニケーション能力を高めるための検定試験です。1~7級の7段階に分かれ、文法・語彙・言葉の意味・表記・漢字・敬語など幅広く出題されます。
1級は海外で日本語教師を目指す人が受験するレベル、7級は小学校2年生レベルとされています。高校卒業レベルは3級なので、3級を目指して受験してみましょう。
⑨実用数学技能検定(数検)
実用数学技能検定(数検)は、数学・算数の実用的なスキルを測る検定試験です。計算だけでなく、作図・表現・測定・整理・統計・証明などさまざまな要素が求められます。
1級・準1級・2級・準2級・3~5級の7段階あり、試験は1次試験「計算技能検定」と、2次試験「数理技能検定」に分かれています。数ⅡB程度が2級、数ⅢC程度が準1級です。
⑩簿記検定
簿記検定(簿記)は、企業の経営・財務状況を数値化するために必要な簿記の知識を問う検定試験です。ビジネスマンから学生まで幅広い層を想定している「日商簿記」、経理専門学校の学生による受験が多い「全経簿記」、商業高校の学生による受験が多い「全商簿記」の3種に分かれます。
大学受験においては、商学部や経営学部において日商簿記のスキルが問われることが多いです。種類ごとに級やレベルも異なりますので、希望大学の要項をチェックしながら自分に合ったものを受験しましょう。
参考:勉強のモチベーションを上げる方法!6つのタイプ別に解説
⑪マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)
マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)は、MicrosoftのWord・Excel・PowerPointといったソフトのスキルを問う試験です。就職後の事務作業はもちろん、大学入学後のレポート作成や資料作成などに役立ちます。
日頃スマートフォンは扱いなれている高校生は多いでしょう。それに加えてパソコンやソフトの扱いにも慣れておけば他の人よりも一歩リードできるでしょう。
⑫Webライティング能力検定
Webライティング能力検定は、Webライティング能力・国語能力・コピーライティング能力を問う技能検定試験です。1~3級の3段階に分かれており、SEOに関する問いも一部出題されます。
倫理・法律・炎上対策など現代社会に必要なライティング技術が含まれていることもあり、情報リテラシー教育の一環として受験する高校生も増えています。表現力を磨きながら最新のトレンドを学びたい人は、チャレンジしてみましょう。
⑬ニュース時事能力検定(N検)
ニュース時事能力検定(N検)は、新聞やテレビのニュース報道を読み取いて活用する力を問う技能検定試験です。政治経済や日本史・世界史、現代社会の出来事などを扱っているため、大学入試にはもちろん小論文や英語長文などへの活用も見込めます。
全国の大学・短期大学でN検合格者の優遇や加点を行っており、なかには出願のために受験を必須としている学部などもあります。世の中のトレンドや最新のニュースにアンテナを張り、正確に情報を読み取っていく力は、高校を卒業してからも役立つでしょう。
まとめ
高校生で取得できる資格はたくさんあります。希望する大学や就職先がある人は募集要項をチェックし、有利になりそうな資格の取得を目指してみるのもいいでしょう。まだ進路が決まっていない人は、自分の興味・関心のあるものをまずは調べてみることから始めるのがおすすめです。