【進路に悩む人向け】進路希望調査票の書き方と対策

Edv Magazine 編集部

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【進路に悩む人向け】進路希望調査票の書き方と対策

「進路希望調査票」と、聞いて皆さんは何を頭に浮かべますか?

早い学校だと高校に入ってすぐ、先生から手渡されるでしょう。たかが紙1枚、されど1枚のこの進路希望調査表には、その名の通り「高校卒業後の自分の未来図」を書いて学校に提出しなくてはいけません。

ベネッセが大学生620人を対象に行った調査「高校生が志望大を決めた時期はいつぐらい?」によると、一番多いのは「高校3年生の7月~9月頃」という回答になっています。

つまり多くの生徒は受験が始まるギリギリまでは進路を決めていないということです。今はインターネット環境さえあれば、大学や専門学校で学べること、就職情報など簡単に見つけられます。早めに情報を収集して高校卒業後の進路を方向付けておくと、余裕をもって進路の決定ができるでしょう。

今回はまだ進路が決まっていない、もしくは決まっていてもどうやって進路希望調査を書いたらよいのか分からない人に、進路別の進路希望調査の書き方を紹介していきます。

進路希望調査票とはどんなものか

今この記事を読んでいる方は、もしかしたら手元に進路希望調査票を持っているかもしれません。そもそも進路希望調査票とはいったいどんなもので、何の目的に使われるものなのでしょうか?

実際の進路希望調査票を見ていきましょう。

進路希望調査票に記載する項目

進路希望調査票は学校によって項目や内容に差があります。通っている高校が公立の一般高校なのか、大学の付属高校なのか、工業・商業高校などの専門高校なのかにより、進路希望調査票の様式も大きく違ってきます。

就職する生徒が少ない進学校は進学を前提とした調査票になっていますし、工業・商業など専門性の高い高校は就職する生徒も多いので、就職について細かい項目があります。

ここでは進学前提の高校と、就職する生徒が多い高校の2パターンの進路希望調査票をみていきましょう。

進学する生徒が大半である高校の進路希望調査票
就職する生徒も一定割合いる高校の進路希望調査票

上のように進学メインの調査票と就職メインの調査票では内容が大きく異なります。

先生・学校側が知りたいこと

実際の進路希望調査票を見て、だいたいどんなものかイメージはついたと思います。

この進路希望調査票は生徒一人ひとりが高校卒業後の進路を(現段階の決まっている範囲で)学校側に伝えるためのものです。進路希望調査票に書いたからといって、必ずその通りにしなくてはいけないわけではありません。今現在、大学に行きたいのか、就職したいのか、留学したいのかなどの素直な希望を伝えるものが進路希望調査票になります。

学校は進路希望調査表をもとに下記のようなデータを集め、進路指導やカリキュラム等に活かしていきます。

  • 大学進学希望者はどのくらいの人数いるのか
  • 公立大学・私立大学の割合はどの程度なのか
  • 就職する生徒は何人くらいなのか

進路希望調査票の目的

学校側が進路希望調査票から知りたい情報はいったい何なのでしょうか?

文部科学省は2020年度より新しい入試制度を取り入れ、推薦入試は学校推薦型選抜、AO入試を総合型選抜と名称を変えました。名称や選抜方法は新しく変わりましたが、先生や学校が知りたいことは以前と大きな変化はありません。

学校はあらかじめ何名の生徒が進学を希望し、どの生徒が学校推薦型選抜や総合型選抜を受けられるのかを事前に把握しておきたいのです。そのため、早い段階から進路希望調査を行っているのです。

【具体的な進路が決まっていない人向け】進路の決め方と進路調査票の書き方

学校からこんな紙もらっちゃったけど、何を書いていいか分からない!まだ将来のことなんて決めていない!そんな人たちのために、進路の決め方、そして進路希望調査票の書き方を紹介します。

大学に進学しようかなと思っている人

まだ今は具体的に何をしたいか分からないけれど、大学には進んでおきたいなと思う人も当然多くいるはずです。高校までの生活とは一変し、自分の興味のある分野を研究したり、自分の好きなように時間割を組めるのが大学の特徴です。高校より学術的に高度になり、幅広く教養を深めるのが大学へ行く目的といえます。

情報を集めて行動してみよう

同じ高校出身のOGOBや、大学を卒業した知り合いなどに直接話を聞いてみましょう。リアルな体験談や実情を聞けるので、抱いているイメージとのギャップを埋められます。

また、大学のWebサイトから簡単にパンフレットや資料を取り寄せることもできるので活用しましょう。高校の進路指導室や図書室には大学の専門誌が置いてある場合もあるので、学校の先生に聞いてみるといいです。

さらに大学説明会を定期的に開催していることもあるので、気になった大学のWebサイトやSNSをこまめにチェックするのもおすすめです。

好きな分野を決めてみよう

学生生活も長年やっていると、ある程度自分の好きなこと、得意なことが見えてきます。ビジネスに興味がある、国際協力に携わりたい、海洋生物の研究をしたいなど、分野を決めると選択肢を絞りやすくなります

大学ときくと高校生活の延長のように感じるかもしれませんが、学問の面白さは大学でこそもっとも感じられるものです。小・中・高はいわば「受験対策の勉強」ですが、大学での勉強は興味のある分野を好きなだけ深堀りできます。

オープンキャンパスに行ってみよう

多くの大学は7月から11月にかけて、高校生に大学を開放するオープンキャンパスを実施しています。高校1年生から参加でき、キャンパスツアー、説明会、体験授業などを通して、自分に合った学校を選んでいくことができます。また学園祭と合わせて開催している大学もあるので、学生の雰囲気をつかむ上でも行くことをおすすめします。

学校推薦型選抜や総合型選抜を狙おう

大学に進学するなら学校推薦型選抜や総合型選抜を狙うこともおすすめします。どちらも大学が求める出願条件をクリアし、高等学校長の推薦がないと受けられない制度です。

そのため、選抜を狙うなら進路希望調査票への記入はおろそかにせず、きちんと記入しましょう。書類審査や小論文、面接、プレゼンテーション、実技などで選抜されるケースが多いですが、大学入学共通テストの結果を求める大学もあるので、早めに対策を立てる意味でも学校に自分の意思を伝えておくことが大事です。

調査票を書く上でのポイント・注意点

嘘の記述をせず、正確に現状を伝える

大学進学を希望する人で特に推薦を考えている場合、進路希望調査票にぜったい嘘を書いてはいけません。もしバレた場合はすべての推薦が受けられなくなります。

進路希望調査票は学校側が推薦を希望する生徒を把握するために行っている部分もあります。内申点に大きく関わってくるので、現段階で分からないことや決まっていないことは無理に書く必要はありません。

また一般入試で進学する場合も適当に書いていいわけではありません。センター試験が廃止され、新たに大学入学共通テストが導入されたことで、情報収集や対策が以前に増して重要になりました。先生たちにとっても新しいことなので、できるだけ自分の情報を正確に伝えるほうが先生も対策を立てやすくなります。

保護者と意見をすり合わせておく

また進路希望調査票には保護者の記入欄という項目があります。保護者にも生徒の進路について記入してもらい学校に提出しなくてはいけません。学校によっては保護者と生徒の意見が違う場合、提出が認められない場合があるので保護者の方とは意見を合わせておく必要があります。

専門学校に進学しようかなと思っている人

専門学校とは、大学とは違ってより専門的で職業訓練に特化した傾向がある学校を指します。大学よりジャンルが細かく、幅広い教養というよりは、技術や専門性の向上を目的としている教育機関です。

情報を集めて行動してみよう

専門学校の情報は、インターネットで調べると早くて簡単です。どんな学校・学科があるのか、どんな授業内容なのか簡単に調べられます。専門学校も大学のように、地域ごとで各学校の広報担当者が集まり合同説明会を行っている場合があるので、1つの会場でさまざまな専門学校の情報を知ることができます。

将来就きたい職業をイメージしよう

自分の好きなことややってみたいことから、将来はこんな仕事に就けたらなと思ったことが一度はありませんか?自動車の整備がしたい、子供と関わる仕事がしたいなど将来働いてみたい仕事をイメージすると、どんなことを学んでおくべきか具体的に考え始めることができます。

未経験から始められる仕事もある程度ありますが、学生時代に専門的に学んだこと・資格等を活かす仕事もあります。将来就きたい職業から、学んでおくべきことを調べて、学校や進路を選ぶのもよいでしょう。

オープンキャンパスに行ってみよう

専門学校のオープンキャンパスは大学よりも開催頻度が多く、体験教室なども実施しています。学科の種類が細かく分かれおり、例えば同じ「デザイン科」でも「アニメーションデザイン」「ゲームデザイン」「Webデザイン」などコースが分かれています。体験教室を通して実際どんなことを学べるのかを把握しておくのは大切です。

調査票を書く上でのポイント・注意点

進路希望調査票は提出期限を過ぎると受け取ってもらえないことがあります。提出しないと罰則があるわけではないですが、大学進学同様に学校推薦型選抜・総合型選抜を狙う場合は、調査票を提出して自分の意思を伝えておく必要があります。

就職しようかなと思っている人

文部科学省の「平成31年3月高等学校卒業予定者の就職内定状況」によると高校生の就職内定率は78.2%で、大学卒業者の75.2%を超える結果となっています。高卒のほうが大卒と比較して少しばかり内定率が高いですが、職業選択にかける期間は短いので、どんな職業につくかをしっかり考えておかなくてはいけません。

情報を集めて行動してみよう

「将来、どう生きたいのか」「どうして就職したいのか」を紙に書いて自己分析をしてみると、どんな仕事に就きたいのか分かってきます。企業によってはHPやSNSに高校生にむけての情報が分かりやすく載っていたりするので、積極的に調べる事で会社のイメージも付きやすくなります。またインターンシップや職業体験を実施している会社もあるので、ガンガン参加してみましょう。

スケジュールを把握しよう

高校3年生の5月には就活が始まるので、少しずつ先輩の体験談や周りの大人のアドバイスに触れていくとイメージしやすくなります。そして7月には求人が公開され企業見学などを行い、9月頃から応募を行っていきます。企業が学校に集まり合同説明会を行う場合もあるので、積極的に参加しましょう。

説明会や企業見学のスケジュールは数ヶ月前から公開されていることがほとんどなので、早めに調べて日程を調整しておくことが大切です。

高校生活でやっておきたいこと

高卒で就職した人が「高校生の時に知っておきたかったこと」として挙げているなかに、社会人としてのマナー・教養があります。

高校生の日常生活で、目上の人に敬語を使うチャンスはどのくらいあるでしょうか?先生に対して友達言葉で話しかける生徒も少なくないのが現状かもしれません。日常的に身に付けるチャンスが少ない「社会常識やマナー」は意識しないと身に付かないものです。

就職面接では言葉遣いや立ち居振る舞いがきちんとできているかが重要チェック事項になります。また社会に出れば、上司や取引先の人など敬語を使う場面は多くあるので、普段から大人のやりとりを観察したり、インターネットで参考記事を読んだりして身に付けていきましょう。

調査票を書く上でのポイント・注意点

高校生で就職する場合は、学力も大事ですが、意欲があり素直な人が採用されやすい傾向にありします。部活に精一杯打ち込んでいたり、課題や提出物をきちんとこなしたりしている人は印象も良くなります。学校も企業に生徒をアピールしていきたいので、自分の「ここは負けない」という部分を先生に伝えておくことは大切です。

留学しようかなと思っている人

高校卒業をして海外の大学や語学学校に進学する場合、入学時期が日本の一般的な学校と異なるため注意が必要です。人気の留学先であるアメリカオーストラリアカナダなどは入学時期が9月なので、卒業後少し間が開いてしまいます。ただし春学期・夏学期などを設けている学校もあるので、早めに行って準備をしておきたい人は適切な渡航時期を早めに検討しておきましょう。

留学フェアに参加してみよう

留学に関して一から自分で準備をするのは難しいので、企業が開催している留学フェアに行ってみるとイメージが沸きやすくなります。ただし、留学エージェントは最初は無料で相談に乗ってくれますが、本格的に依頼をする場合は数十万円かかるので保護者と相談して決めるようにしましょう。

学校側にきちんと連絡をとること

毎年何名も留学生を送り出している高校ならあまり問題はありませんが、事例が少ない学校の場合は先生たちも情報不足の場合があります。留学先に願書など必要書類を提出する際に、英文の成績証明書や英文の推薦状などが必要になるので、事前に先生たちと相談しておきましょう。

参考:大学留学の基礎知識 / 高校留学の基礎知識

調査票を書く上でのポイント・注意点

進路希望調査票には学校側にやってもらいたいことを指定して書かないと、先生も何をすべきか分からない場合があるので、主導権は自分が握るくらいの気持ちで記入しましょう。

まとめ

進学するにしても、就職するにしても、進路希望調査票は自分と学校側の認識を揃えるために必要なものです。もし自分が現時点で何をしたいのか全く決まっていなかったとしても問題はありません。素直にそのことを書いて提出しましょう。

進路が決まっていない人はそのまま放置せず、自分が何をしたいのかを考え、自己分析をしてみましょう。ネットで調べたり、実際に足を運んだりしてイメージを膨らませてみると、少しずつ自分のやりたいことがみえてくるはずです。進路希望調査票を自分の将来を意識するきっかけと捉え、まずは一歩踏み出してみてください。

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